同人用語の基礎知識

振り込めない詐欺
MikuMikuDance

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初音ミク PV作成の強力な支援ソフト、神ツール MikuMikuDance

 「振り込めない詐欺」 とは、「対価を支払いたいくらい素晴らしい作品、ツールなのに、作者が払わせてくれない」 という、ほとんど最上級の賞賛表現です。 人気 DTM ソフトのイメージキャラ、初音ミク を、3Dで自由に動かしたり躍らせたりさせることができる3Dモデリングアニメ動画作成ツール 「MikuMikuDance」(ミクミクダンス/ MMD) に対して、利用者がそう呼ぶようになりました。

 「MikuMikuDance」 の公開は 2008年2月24日。 同時に 「ニコニコ動画」 に使い方やソフトの紹介を行う動画 (3Dミクを躍らせるツールを自作してみた) がソフト作者によってアップされ、たちまち話題となりました。 ソフトの作者は 「樋口優」 さん (ハンドル)。

「初音ミク」 を中心に、職人がよってたかって完成したようなツール

MikuMikuDance 起動画面
MikuMikuDance 起動画面

 「MikuMikuDance」 で動かすことのできる初音ミクの3Dモデリングデータは 「あにまさ」 さんの作品で、ソフトの紹介をする動画のBGMはまた別の作者のミクやリン (鏡音リン) の作成データを使用。

 しばらく前から、ネット 上で 「良い仕事」 をしている職人同士が素材やデータを借りたり貸したりしながら、ありえないクオリティのソフトやデータを無償で公開していますが (ここらは互助の考え方とともに、「人が築いた上に築け」 っていう、ソフトウェア哲学そのものですね)、そのひとつの 「分かりやすい」 例だと思いますね。

 翌日の 2月25日には、折から動画サイト界隈で話題になっていた 「ウッーウッーウマウマ(゜∀゜)」(Caramell の 「Caramelldansen」 の 1.2倍速演奏/ U-U-U-Aua Dance) に乗せたダンスPV、「MikuMikuDanceがあまりに神ツールだったので初音ミクでウマウマさせてみた」 が 「3D歴90分」 のユーザにより作成され登場。 作例であると同時に豆知識的なノウハウの開示もあり、手軽に作れるキャッチーな力作が大量にアップされるように。

 ソフトはその後、バグフィックスされた ver 1.1 に引き続き、わずか3日弱で ver 1.2 になり、なんとネギと 猫耳 がアクセサリーとして装着可能に。 アクセサリーデータ自体はテキストファイルで設定可能なので、オリジナルアクセサリーの登録なども可能で、3月2日にはギターを演奏する初音ミク動画まで登場 (アクセサリー置き場サイトも作者によって運営されています)。 これでますます作品の幅も広がりそうです。 なおPV作成ツール 「VocaloStage」 の開発もアナウンスされています。

振り込めない詐欺、才能の不法投棄…様々な賞賛の声

 ダウンロードは公開からわずか1週間で10万回を超え、利用者からは 「これはすごい」「本当にこれが無料なのか」「シェアウェア (Shareware) のように感謝の印としてお金を振り込みたいが、振込先がわからん」「寄付すらできない」「これではまるで、振り込めない詐欺ではないか」 とまでの賞賛を集めているようです。 配布先は 「VPVP」(Vocaloid Promotion Video Project)、こちら

 ソフト自体は フロッピー にも入ってしまうわずか 1.01MB ほどしかなく、中の実行ファイル、「MikuMikuDance.exe」 から直接起動できるのでインストールも不要。 3Dツールでありながら動作も極めて軽快で、手や足を動かしたり視点を切り替えたりはもちろん、体を捻ったり屈めたり、さらには目の瞬きや口の動き (口パク) や表情の変化、影の調整や自動追従も可能と、筆者も早速使ってみましたが、やっぱりありえないクオリティのソフトになっていますね。

 また キャラ が初音ミクということもあり、ソフト初音ミクで作成したデータ (VSQファイル/ VOCALOID 専用の MIDI ファイル) をそのまま流し込むことにより、データの歌詞にあわせた 「リップシンク」(口パク) も可能と、至れり尽くせりの内容となっています。

 もちろんアニメツールですから、演奏時間が長くなるにつれ作業量も増えますし、3Dソフト、それもモーションつきだと何より 「根気が必要」 なのは、他のソフトと変わりません。 しかし直感的な使い勝手を持っていて、とりあえず触っていれば動いてくれる、わくわくしながら遊べる感じです。 また AVI ファイルを背景に表示することも可能で、例えば アニメ のダンスシーンなどをコマ送りしながら3Dキャラのアニメの動きをつけるような 「効率的」 な作業も可能で、Miku Miku Dance の名称の通り、まさに 「初音ミクを存分に活躍させるための最強の支援ツール」 と云えそうです。

 3Dツールと云えば、六角大王とエクスツール時代の Shade に手を出して挫折した筆者ですが、年々複雑に、そして重く高額になる一方のソフトウェアも、待てば海路の日和もあるもんですね…。 フリーウェア (Freeware) のエポックとして、長く記憶に残るソフトになりそうです。

 なお動画を見つける場合は、ニコニコ動画では 「MikuMikuDance」「VOCALOID3D化計画」「MMD」 で、YouTube などでも同様のキーワードやソフト名、初音ミクで検索するとたくさん出てくると思います。

インディーズ3D作品の行く末も左右

 元々同人やインディーズに近いアダルトゲームハウスなどでは、3Dアニメによるちょっとエッチな動画や ゲーム が作られ 頒布 されていました。 YouTube や ニコニコ動画などの 動画共有サイト の人気で、音楽とミックスされた3DキャラによるPVや MAD ムービー の人気と流行が爆発的になっている中、「作りやすい」「しかも簡単なのに出来上がる作品はプロなみ」 の 「PVPV」 の誕生は画期的な出来事といえます。

 静止画やキャラのグラフィックの解像度的なクオリティで見れば、プロ用ツールで作った本格的な3Dアニメと比べるとお手軽な感じには見えますが、素人やそれに近い人間が、さっき見たテレビのキャラの動きをそのまま再現してネットで配信できるような環境が整ったのは、ちょっとした衝撃です。

 このソフトが無料だったこと、初心者にも扱いやすいものであったことなどから、今後3Dのキャラを使ったアニメ動画は、「このレベルが最低ライン」 となり、全体を大きく底上げした観があります。 ネットでの動画の需要は高まることがありすれ減じることはないでしょうから、新しい創作の地平が今から始まったかのような興奮もありますね。

 2010年には、ゲームハード 「Xbox 360」 用周辺機器 「キネクト」(Kinect コントローラー) と、対応ライブラリを使うことにより、モーションキャプチャーにも対応。 ダンスなど 3Dモーションの振り付けが画期的に簡単に行えるようにもなりました。

関連リンク

VPVP/ Vocaloid Promotion Video Project (開発・配布元の公式サイト)
VPVP/ Vocaloid Promotion Video Project (開発・配布元の公式サイト英語版)

VPVP wiki (ノウハウや各種情報を紹介する wiki)
VPVPのMMDの一ユーザによるアクセサリ置き場 (アクセサリ作者による保管庫)
MikuMikuDance の小物置き場 (アクセサリ作者による保管庫)

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2008年3月4日)
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