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イットじゃなくアイティーなんです…><

 「IT」(Information Technology) とは、本来はそのままの意味で 「情報技術」 になります。

ITイメージ
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 しかししばしば 「情報革命」(Information Revolution) という言葉の延長線上で 「革命」 とセットで使われ、「IT革命」 と云えば、それまでの印刷物やアナログ放送、通信と違い、デジタル技術 (パソコンや インターネット によるデータの通信と保存、加工) を使った新しい情報通信システムの開発と発展、確立、およびその活用が当たり前になる社会を支えるものを指します。

 その後、より定義を明確化した 「ICT」(情報通信技術/ Information and Communications Technology) という呼称も使われるようになっていますが、通常 「IT」 と云えば、パソコンやネットを使った情報の伝達や加工の技術を指すと考えてよいでしょう。

 それ以前は、概念 が違うものの似た使われ方をする言葉に マルチメディア などといったものもありましたが、2000年前後を境に盛んに 「IT」 が使われ、言い換えが促進。 また持てはやされるようになりました。

日本では、2000年から2001年にかけ、「IT」「IT革命」 が流行語に

 日本では、1996年に 「NTT」 などが中心となって行った 「インターネットワールドエキスポ'96」 が、それまでの パソコン通信 から 「インターネット」(高速回線と、ネットとネットの有機的なつながり) への一般人開放の時代の幕開けを告げました。

 それ以前は、国や一部企業や大学、研究機関などで、専用線を用いて使われる程度のものだったのが、1995年頃から徐々に一般にも浸透し、情報を受け取るだけでなく発信するための ホームページ のブームが起こりました。 また前後して新しい 「OS」、Windows 95 の発売とブームもありました。

 さらにその4年後の 2000年11月には、国家戦略として 「IT」 を推進する 「e-Japan」 プロジェクトも始動。 新千年紀記念行事の一環として、ネット上の万博 「インパク」(インターネット博覧会 楽網楽座/ 2000年12月31日〜2001年12月31日) を開催するなど、積極的に政府が 「IT」 の啓蒙や広報活動を行っていました。

 いよいよ 「21世紀」 という期待感もあり、こうした未来を感じさせるキーワードは、マスコミの音頭とりもあり、大きく話題になっていました。 また当時総理大臣だった森喜朗衆議院議員が 「IT」 を 「イット」 と読み間違えたことから話題となり、結果的に広く 「IT」 が知られることにもなりました。

 ちなみに 「インパク」 は、100億円 (最終的には110億円) もの巨額の税金を使いながら、さしたる成果を挙げられないで終了しましたが、どうせお金をばら撒くにしても、当時生まれたばかりの振興ITを直接支援するような形になっていたら、その後の展開も変わっていただろうにと惜しく感じます (結局、大手広告代理店と大企業がその中心で、しかもインパク終了後は大半の コンテンツ が削除され、何の成果も残せませんでした)。

 蛇足となりますが 筆者 は当時、省庁再編がらみの仕事で経済産業省やその関連団体 (その後に つこうた で有名になった独立行政法人の IPA とか) に行く機会があったのですが、いたるところに森総理のインパク ポスター が貼られていて、めまいがしたものです。

オタク、同人関係のIT化と云えば…

 なお おたく 関係で云えば、そもそも 「パソコン通信」 でネットに昔から慣れ親しんでいたこと、インターネットについても 「fj」 を頂点とするニュースグループや各種メーリングリスト、アングラ系掲示板 や初期の オタ系大手サイト などを中心に、とっくに 「ネットがない生活はありえない」 なんて状態になっていた人が多かったものです。

 ですのでこうした 「ITブーム」 は、ややもすると冷ややかに見ていたケースが多かったものでした。 ただし 「IT」 が盛り上がる中でネット回線の高速化や低料金化が一気に進むことになったのは事実で、その意味ではありがたいブームだったと云えそうです。

 筆者はパソコン通信から初期のインターネットまではダイヤルアップ、後にISDNに替えて、さらにADSL、その後 光回線という変遷をしていますが、初めてADSLに接続した時には、そのあまりの速さに 「これはキャッシュじゃないのか?」 みたいな感動を覚えたものです。 それ以前にも大学のラボで専用線を使ったことはありましたが、その頃はテキスト中心のサイトだったので、速度をあまり気にすることはなかったんですよね。

 後に、盛り上がっていたアメリカのIT関連企業の隆盛 (ITバブル) が弾けたこと、ネットが当たり前の時代になったことによる言葉の陳腐化で、2004年頃にもなると、すっかり 「IT」 は過去の言葉となっています。 その後さらに 「web2.0」 なんて概念と言葉も誕生しましたが、こちらはネット関連で一儲けを目論む企業や評論家が絶賛するだけで、言葉としてはほとんど流行りませんでしたね。

もてはやされた 「IT」 その未来は…

 「IT」 概念の登場と普及、社会の浸透によって、確かに新しい価値 (雇用といってもいい) も生まれています。 しかし初期の頃から現在に至るまで、「IT」 の中核は 「作業の効率化」 となっています。 すなわち既存業務の置き換えであり、それまで 100人でまわしていた仕事やプロジェクトが半分の 50人とか、25人とか、さらには10人、5人で行えるようになったりします。

 「デジタルデバイド」 のところでも解説していますが、そこで 「不要になった人的リソース」 が、「IT」 によって創出された他の仕事や業務につければ良いのですが、多くの場合、他の業種も効率化を行っていますし、結局のところは 「余剰労働力」 や 「無職」、あるいは全体的な労働賃金の低下となってしまうんでしょう。

 もちろんそれまで存在しなかった仕事や業務も生まれます。 ソフトウェアの制作に関わるプログラミングなどもそうでしょうし、ウェブサイトやゲームが盛り上がれば、そこで使うための図案や音楽のために、クリエーターらの仕事も増えるでしょう。 しかしその 新規 雇用や新業務は、効率化でなくなった仕事や雇用より、恐らくかなり小さいものになるのでしょう。 筆者が子供の頃、バラ色の未来予想図ではロボットが仕事を行い、人間は過酷な労働から解放されて遊んで暮らせるユートピアが描かれていました。 確かに様々な工業製品や食品の価格は下がりましたが、その反面、労働賃金は下がり、失業者も増える結果ともなっています。

 こうした動きは、かつての産業革命の時代も同じでした。 産業の機械化、工業化により余剰労働者が生まれ、街に失業者があふれたのは、歴史で誰もが習うことでしょう。 しかし当時は、産業革命を成し遂げた先進国には植民地政策という奥の手がありました。 帝国主義の名のもと、侵略 によって奪った莫大な富があったのですね。 21世紀に、そのような方法はどこも行えないでしょう。

 情報の行き来が迅速に、かつ活発となって、文化や娯楽は多様化し、非常に豊かになりましたが、生きていくための雇用はどんどん減ってゆく。 農業革命にしろ工業革命にしろ、その登場によって後に人間の考え方や社会そのものを大きく変革させるインパクトがあったわけですが、IT革命もそれと同じか、もっと大きな変革を長い目でみたら与えるのは確実でしょう。

 できるなら、ばら色の未来社会であって欲しいものです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2001年5月11日)
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