時代と共に創るものも作り方も変わる 「制作環境」
「制作環境」 あるいは 「作業環境」 や「お絵描き環境」「執筆環境」 とは、絵 や イラスト、マンガ や SS などを描く (書く) 場所のこと、自分の部屋のお絵描きスペースとか、もっぱらデスク回りを指して使われる言葉です。 現場 と呼ぶこともあります。 パソコン (PC) を使って描くデジタル絵の場合、パソコンの スペック や タブレット などの使用機材、ソフトウェアやよく使う便利なプラグイン、片手デバイス といった ガジェット などを指すことも多いでしょう。
言葉自体はこれといった捻りもないそのままの意味の言葉ですが、日常的に絵や文章を創る人は自分の 環境 の構築とか部屋のあれこれに悩んだり工夫をしたりするものですし、著名な 作家 やクリエイターがどんな環境で 作画 など創作活動を行っているのかは興味や関心を持つ人も多いでしょう。 度々 「お絵描き環境 晒し」 のような形で自室の写真を紹介をしたり、他者のそれを見たり聞いたりといったリサーチをする人も多いようです。
単にデスク周りのレイアウトや道具・家具の選び方だけでなく、写真に写り込む 画材、部屋に貼られたカレンダーやら ポスター、参考資料などにも創作のためのヒントが隠れていたりして、好きな作家さんの環境晒しはより興味を掻き立てられます。 あるいは自分と同じ部分があったりして親近感を覚えるなど、様々な見方や楽しみ方もできるでしょう。 また コミケ などの大規模な 同人イベント のための新しい作品を描いている場合は、執筆状況のちょっとした 実況 と合わせて行われることもあります。
ちなみに一概には云えませんが、男性作家の場合は黒っぽい無骨で散らかった環境が、女性作家の場合は白やベージュなど明るい色で可愛らしく整理された環境や部屋が多いようです。 これは個々人の趣味もありますし、性別による傾向の違いもあるのでしょうが、男性の場合は散らかったままでも写真にとって気軽に晒すことに躊躇がない一方、女性の場合はある程度は 映え を意識し、部屋を整理してから写真を撮るなどの違いから結果的にそうなるだけなのかも知れません。 もちろん個人差のある話ではありますけれど。
なお 商業 の世界では、職業として コンテンツ の制作を行うため、とくに企業に所属しているクリエイターらの給与や福利厚生といった待遇・雇用条件を指して使うこともあります。
デジタル環境の場合、様々なものが見えてきたり
アナログ絵とデジタル絵とでは、当然ながら使う道具や機材はかなり異なります。 またパソコンが普及する前は、絵画 の ジャンル によって異なる専用画材も多く、いくつもの ジャンル にまたがって制作する人にとっては費用だけでなく画材の収納にも苦労する レベル でした。 例えば油絵・水彩画・水墨画・アクリル画・クレヨン画・エアブラシ絵・マンガでは、下書き用の鉛筆や消しゴムの他はごくわずかに絵の具の一部が使いまわせるくらいで、共有 できるものはほとんど何もありません。
パソコンの場合、これらはほとんど1台のパソコンとソフトウェアで描けますし (それでもジャンルごとに得意とするソフトウェアなどはありましたけれど)、初期費用こそそれなりにかかりますが、一度機材を一通り揃えてしまえば、その後のランニングコストはかなり少なくて済みます。 ただしこれは、パソコンで絵を描くのが当たり前になった時代以降の話で、1990年代から2000年代初めころの、まだまだアナログ環境が強かった時代、過渡期には、結構な手間や費用がかかったものでした。
デジタル絵を全くやらない人はともかく、最終的にパソコンで絵を仕上げるとしても、1990年代までは下書きや線画まではアナログで行うとか、モノクロのマンガ本編はアナログで、同人誌 の 表紙 などカラーイラストだけはパソコンでみたいな使い分けがアナログ・デジタル両方やりますみたいな人にも多く、環境にそれほどの違いはなかったものです。
パソコンが普及し、ネット も当たり前になり、線画取り込み用の スキャナ に代わって板タブや液タブといったデジタル絵を直に描く道具もかなり安価となると、お絵描き環境≒デジタル絵前提のパソコンデスク廻り、みたいな限定された言葉の使われ方も増えてきました。 この頃になると、一応アナログ絵のための画材を持ってはいても、日ごろのお絵描きにはほぼ使わないような (イベント で スケブ に描くだけみたいな) 人が増えている印象です。
とくに同人誌などの実体のある形にこだわらずにネットでイラストや小説を 投稿 する活動が主な場合、時代を下るとタブレットやスマホだけで全てを完結する人もいて、作品の形、発表の形、それに使うツール類の進歩により、昭和から平成初期の頃とはまるで様相が異なる同人の形も起こっています。






