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藁人形論法

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こっちはそんなこと一言も言ってません… 「藁人形論法」

 「藁人形論法」 とは、他人の意見や主張を自分に都合よく恣意的に歪めて、その曲がりくねって歪んだありもしない主張に対して反論したり、論破したと主張するような論法 (詭弁 の一種) です。 ストローマン論法とか案山子論法 (かかし論法) と呼ぶこともあります。 相手の主張を中身がなくて簡単に倒せる藁人形やストローマン (藁でできた男)、案山子などに歪めて加工し、それを倒したと主張することからこう呼ばれます。

 例えば誰かが 「緑色の車が好き」 という主張をしたとします。 それを 叩きたい だけの人が、「緑以外の車は嫌いなんだな」 と捻じ曲げたり 「緑以外の車が好きな奴はおかしいと言いたいんだな」「緑を正しく色覚できない人に対する差別だ」 などと拡大・誇張して、支離滅裂な反論や追及を行うような状況です。

 元の話では、単に 「緑色の車が好き」 と云っているだけで、別に緑以外は認めないとか、それ以外の が好きな人への批判もしていません。 しかし反論する側は勝手にその主張を歪め、誇張し、あるいは相手の話を自分が反論しやすいように都合よく加工して論破し 勝利宣言 につなげたり、相手の社会的信用を貶めたりします。 場合によっては周囲にそれをアピールしイメージ操作するために、緑以外の車体色の方が人気がある、緑色の車は事故に遭いやすいといった本来の話とは何の関係もない調査データなどを得意げにリストにして、「こいつの話は何の根拠もない暴言」 だと ネット にバラまいたりします。

 もちろんこうした幼稚な論法は、最初から議論を追っていれば聞く者に最低限の知性さえあれば単なる牽強付会だ詭弁だと容易に看破できるものです。 しかし議論が延々と続いて初めの方の議論の印象が薄れたり論点が ボケ てきたり、あるいは途中から議論に参加して事情を知らない人などは騙されてしまう場合もあります。

 とりわけ 掲示板ツイッター といった SNS で議論や言葉の一部を都合よく 切り抜いた だけのものを見せられてその確認を怠ると、この論法に丸め込まれてしまう場合もあります。 いつのまにやら 「緑以外の車を選ぶ奴は異常だというアホがいる」【悲報】○○で有名な□□さん、緑色の車を選ばない奴は異常者だと断言してしまう」 などといった形で話が広がり、それを鵜呑みにした正義中毒な人が大勢集まり、その人への理不尽なバッシングや 炎上 が始まったりします。

 またこうした虚言を弄する人は、焦りからか虚勢を張るためか、おおむね 強い言葉 による反論や断言をしがちで、これも議論の流れや事情を良く知らない人が外から見ると錯覚して 「断言している方に根拠があるように見える」「議論を有利に進めているように見える」 ことがあります。 藁人形論法をやっている人はその反応を受けて調子づき、ますます強い言葉や表現で相手がしゃべっていない想像上の言葉や主張、勝手に 妄想 した真意を叩いて悦に入るようなことになります。

 またさらに発展した場合には、主語を大きく した都合の良い架空の藁人形を仕立て上げて悪魔化し、それをサンドバッグとして自分たちに有利な議論をひたすら 空リプ壁打ち (独り言) で展開する場合もあります。 「日本には緑色の車以外認めないような連中がいっぱいいて話にならない」「まともな車体色は緑だけだって意見が多くて地獄」「欧米では緑の車など軍事車両ばかりで日本は遅れている、さすがヘルジャパン」 みたいな云い方を延々と繰り返す訳です。 その リプ を見た人は 「そういう主張をする人間が大勢いるのか」 と信じ込み、確認もせずに大勢で存在しない主張や人間を叩き始めます。 この場合は 「藁人形叩き」 と呼ぶこともあります。

論点のすり替え、発言の一部だけを取り上げて感情論に持ち込むといった方法も

 あからさまな藁人形論法だとはみなされないものの、それに近い論法は他にもあります。 議論のすり替えもそうですし、相手の発言の言葉尻や揚げ足を取る、挑発して売り言葉に買い言葉で不用意に出てしまった一部の不適切な言葉や比喩をことさらに何度も責める、都合の良い部分だけをつまんで取り上げる (チェリーピッキング)、理屈ではなく感情に訴えるなどです。

 重箱の隅を楊枝でほじくるような揚げ足取りや、泣き落としといったたぐいの感情に訴える論法は、行う人があまりに多くてある程度一般化し、騙される人もあまりいないかもしれません。 しかし 「拡大解釈」 は、一見するとそれっぽく見える論が張りやすいので、その他の詭弁と複合すると 雰囲気 に流される人も結構多い印象です。

 誰かが 「子供の頃に緑色の車に乗った異常者に襲われた、緑色の車を全肯定するあなたはその時の犯罪者と同じだ」 と涙の抗議を行い、相手が 「私はそんなこといってない、犯罪と私に何の関係がある」 と強く反論すると、何やら反論した方が被害者を理詰めで攻撃する不誠実で血も涙もない人間に見えるような残念な人だっているでしょう。 もちろんこの反論も藁人形化して、「犯罪を肯定した」「被害者を攻撃するセカンドレイプだ」 などと言い換えられて広められます。

 その他、露悪的 なセリフや不適切な比喩を用いた人に対して 「日ごろから使ってるからそんな言葉が出るんだ」「心で思ってなかったらその言葉は出ない」 といった言い回しでの 人格攻撃・批判 もよくあるパターンです。 これは失言による失敗経験を持つ人が少なくないため実感を伴い易く安易に用いられ、また支持されやすい傾向があります。

 さらには議論の中身ではなく、喋っている態度や姿勢をあげつらって批判する場合もあります (トーンポリシング)。 もちろんふてくされたような話し方や汚い言葉で罵倒されると腹も立ちますし、そこに何らかの悪意を感じるのは仕方がない部分もありますが、勝手に他人の内心を推し量ってそれを根拠に批判する (エスパー論法) などは、身内の口喧嘩ならともかく議論の場では、本来はあってはならないことでしょう。 しかもそれを意識的にやっているならともかく、場合によっては認知能力の問題で無意識に行い本人がそう確信している場合もあり、そうなると話も全く噛みあわず不毛な上に恐怖でしょう。 何しろ話せば話すほどお互いの主張が離れていくのですから。

現実世界にもよくいる 「藁人形論法」 の人たち

 こうした詭弁やその他の詭弁との複合詭弁を使う人は、日常会話の場でもしばしば見られます。 例えばコンビニでお弁当を購入した客にレジ係が 「お箸はおつけしますか?」 と尋ねたら、「素手で食えってか!?」「俺には箸などもったいなくて使えないってわけか!?」「俺が○○だから見下してるんだろう」 などと喋ってもいない話に反論し逆上するタイプの人はたまに見かけます。

 この場合は議論を有利に進めようといった打算的な目的はなく、ほとんど言いがかり、いちゃもん、あるいは最大限好意的に見ても早合点による思い込みや被害妄想に思えますが、状況を良く知らない第三者から見たら、まるでレジ係の人がお客さんに無礼を働いたのかと勘違いしたり、どっちもどっちだと思い込む場合もあるでしょう。

 こうした ネガティブ な方向への極端な思考の飛躍や振り切れは身に覚えのある人も少なくなく、ありもしない他人の裏の感情を読み取りすぎるせいで周りの人間全てが敵に見えるといった人もわりといたりします。 筆者 も相手の言葉のちょっとした ニュアンス で最悪状態にまで思考が飛び散らかって思い悩むこともありますから、あまり一方的にそうした人を非難する気にはなれません。 そもそも 「言ってないことを勝手に読み取るな」 と 「言ったことしか読み取れないのか」 は都合よく使い分けられがちです。 とはいえ心の中でそう思うのと、それを実際に口に出すのとでは大きな隔たりがあります。 周囲の人間がそれにずっと付き合う必要はありませんし、振り回されて疲弊したり傷つくのも、当たり前ですが避ける必要があります。

 いずれにせよ意図的な曲解にせよ無意識の反応にせよ、藁人形論法的な物言いは議論も全く深まりませんから、つとに避けるべき論法だと云えるでしょう。 またこうした論法を使う相手とはお互いのためにも距離を置くべきでしょう。 確かに藁人形論法をはじめとする詭弁や 逆張り ばかりして イキって る論者を公開の場で論破して赤っ恥をかかせてやりたいという人もいるのでしょうが、意図的あるいは悪意を持って藁人形論法を使う論者やそれを支持する人は論理的な思考ができないかできないふりをする人たちなのですから、話も通じず、逆恨みから 粘着 されたりとろくなことがなく、精神をすり減らされるだけです。

 蛇足ですが、筆者は別に緑色の車に恨みはありません。 むしろ好きな方です。 単なる例として挙げただけですが、緑色の車が好きな方がいらっしゃったら大変申し訳ありません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年7月19日)
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