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火病/ ファビョン
ファビョる

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2000年代になってネット上で広がった 「ファビョる」

 「火病」(かびょう)「ファビョン」 とは、あまりに激しい怒りのために我を忘れ暴れまわったり、あるいは極度に興奮して呼吸困難にすらなっている状態のことです。 また他人が顔を真っ赤にして怒っている (ように見える ネット掲示板 の書き込み) などを、侮蔑的にそうあらわす場合もあります。

 普通の日本語としては 「激怒」「憤怒」「癇癪」 あるいは 「ヒステリー」 といったような意味になりますが、しばしば些細な理由、一般的な人が理解不能などうでも良いと思える小さな出来事を発端にしたり、口げんかや議論などで図星をつかれ反論できなくなったような時にそういう状態になることから、「短気」「瞬間湯沸かし器」 とか 「逆切れ」「八つ当たり」「プッツン」 などが近いニュアンスになります。

 こうした症状の命名された存在が知られ言葉が使われるようになると動詞化し、「ファビョる」「ファビョった」「ファビョるな」 などと使ったり、他人が怒っている状態を 「ファビョーン」 などと擬態語にしてレッテルを貼り揶揄したりします。 さらに怒っている人がしゃべるセリフの語尾が、○○しる (反省しる! など) になったりします。

元ネタは中国文書の記述やアメリカの医学発表から…

 元ネタ ですが、1996年にアメリカの精神科協会において一種の文化結合症候群として登録、発表された、韓国人に特有の症状、性質をあらわす 「Hwabyung」(Hwa-byung/ anger syndrome) が直接的な語源となっています。

 前後して中国明時代 (1368年〜1644年) の高名な医師、張介賓 (会卿/ 1563年〜1640年) がこうした朝鮮文化圏の人たち特有とされる症状を 「火病」 と書き記していたことがわかり (その後朝鮮半島にその言葉が伝わり、ハングルでも 「」(憤怒症候群) として存在)、掲示板 2ちゃんねる のハングル板 (ハン板) などでそれらの現地での資料、情報源 (ソース) が探し出され、繰り返し紹介されたことで広まりました。

 なお韓国国内での 「火病」 は怒りに限らず、喜怒哀楽や驚き、憂い、思慮などのあらゆる感情にこの傾向があるとされ、そうした感情を表に出せず、自身の心の内に押し殺すことによる心身への悪影響をあらわす症状のひとつとされているようです。 よく例に出されるケースに、夫の浮気に心を痛める妻とか、嫁姑のいさかいに悩む夫とか、両親の不仲に心がすさむ子供、上司の理不尽さに追い詰められる部下…なんてのがあり、「鬱火病」 とも呼ばれます。

 症状としては前出した呼吸困難のほか、睡眠障害や食欲減退、頭痛、下痢や便秘などなど、一種の鬱病のような扱いをされていますが、日本の朝日新聞や毎日新聞は、ことあるごとに、「建前ばかりの陰湿な日本に対し、韓国の人たちは素直に感情を表すとても人間らしい文化を持っている」 と礼賛していますから、抑制的な文化が原因と思われるこれらの症状と国民性との事実関係はちょっと不明です。

「2ちゃんねる」 などで繰り返し紹介されたことにより広まりました

ハングル板
2ちゃんねる」 の 「ハングル板」

 当初は、度が過ぎた韓国などの反日運動の様子や、日本の掲示板などで反日発言をする人たちが議論でやり込められた時の反応 (論理的・客観的な反論ができず、感情的な罵声や罵倒、威嚇や恫喝だけで押し切ろうとする) などを直接的に指す言葉でした。

 韓国では 「声闘」(ソント) と呼ばれる文化があり、内容ではなく大声で相手の話を遮りわめき散らして沈黙させれば勝ち (時としてそれは称賛の対象でもある) と云う独特の議論・討論のやり方があるとされます。 理論や倫理、客観的事実などはどうでもよく、とにかく声が大きい方が勝ちと云う議論法です。 日本にもこういう議論をする人は結構いますが、掲示板でのそれは、この考え方に合致するものではあるのでしょう。

 しかし後に 「ファビョる」 は、「理不尽なまでの激怒、癇癪」 を指す言葉としても広まり、2002年頃からは、韓国や北朝鮮のものに限らず逆切れして見苦しい反論を繰り返す人や、中傷やコピペ、荒らし行為を繰り返すような人を指す言葉として、むしろ使われるようになっています。

 なおこれらの症状の原因については、やれ 「カプサイシン」(キムチなどに入っている唐辛子に含まれている) を採り過ぎるとなるとか、「恨み」 をいつまでも忘れない文化に起因しているなどと様々唱えられています。

 しかし唐辛子 (Red Pepper) が日本から朝鮮半島に伝わったのは秀吉の文禄・慶長の役 (1592年〜1593年/ 1597年〜1598年) ですから、張介賓の時代と同じ (近すぎる) で無理がありますし、ここらはある種の単なる民族性 (例えば日本人にやたら自殺が多いなどの特徴) からくる行動様式の違いなのかなという感じもします。 違いは違いとして、あまり安易に他国民を侮辱するようなレッテルを貼る使い方は、すべきではないかも知れません。

あの国由来のネットスラング…

 ところでこの種の ネットスラング は、積極的に紹介するつもりはあまりなかったのですが、あまりに広まってネット界隈で慣用句として頻繁に出ていること、当の韓国のメディアが、日本メディアにおける例えば ニート などの報道のように、「火病」 の存在を自明のこととし半分茶化すような形で頻繁に触れていることもあり、ご紹介してみることにしました。

 なお韓国・朝鮮語由来で頻繁に使われるネットスラングに、マンセー というのもあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2006年12月26日)
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