同人用語の基礎知識

○○の息づかいを感じていれば、
事前に気配があったはずだ

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他者を批判することで優位に立とうとする思考

 「○○の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ」 とは、他人が失敗した時、何かミスをした時に、「○○を感じていれば事前に察知して防げたはずだ」「なぜそれができないんだ」 と一方的に相手を責め立て、批判するような意味の言葉です。

 ただしその批判が、どう考えても予想・予知できないような無茶で理不尽な内容の要求だったり、あるいは ネタ として単なる合いの手のように 掲示板レス に入れる場合もあります。 使い方としては、例えば寝坊して遅刻したような時に、「目覚まし時計の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ」 なんて感じで使ったりします。

元ネタは、毎日新聞の社説 「特急転覆 安全管理で浮ついてないか」

毎日新聞の社説 「特急転覆 安全管理で浮ついてないか」
2005年12月27日 毎日新聞の社説
「特急転覆 安全管理で浮ついてないか」

 元ネタ ですが、2005年12月25日に山形県内で発生、死者5名、重軽傷32名の被害を出したJR羽越本線の突風による 「特急 「いなほ14号」 脱線転覆事故」 に対するマスコミの反応を発端としています。

 この事故に対して2日後の12月27日に毎日新聞が 「特急転覆 安全管理で浮ついてないか」 と題する社説を発表しましたが、この中に登場したフレーズ、「風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ」 からとなります。

 この事故は、瞬間風速で毎秒40メートルを超える規模の局所的な突風により走行中の車両が傾き、そのまま脱線転覆したというもので、当日は横殴りの強い雨が降り、暴風雪・波浪警報が発令されている荒天でした。

 ただし突風 (竜巻だとも) 以外の風速はおよそ毎秒約20メートル程度のもので、安全管理マニュアルによる減速規制は必要でないとされ、事故現場では運行基準に則った減速や徐行走行などは行われていませんでした (しかし運行者の判断により、自主的に通常より速度は落としていて、定刻からは遅れが出ていたものの、被害の減少に役立っていた)。

 これに対し毎日新聞は、「尼崎の事故後、鉄道事業者は安全対策に万全を期していたはずだが、年も変わらぬうちに再発させるとは利用者への背信行為だ」 と、同年4月25日発生の 「JR福知山線脱線事故」 を引き合いに出した上で、「突風とは言いながら、風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ」「風速計に頼っているだけでは、危険を察知できはしない。 五感を鋭敏にして安全を確認するのが、プロの鉄道マンらの仕事というものだ」 とバッサリ。

「って言うか、どこの風の谷のナウシカだよ」 と大きな話題に

 「風の息づかい…」 とは、またずいぶんとロマンチックなフレーズですが、このポエジーな表現と、「想定外の天災による事故を、計測器に頼らず運行者に勘を使って防げ」 との非科学的な主張が ネット の界隈、掲示板 2ちゃんねる などで話題に。 その多くは 「批判のための批判だ」「突風や竜巻をどうやって予想しろというのか」「計器類やマニュアルを無視して運転士が勘で運行したら、それはそれでまた批判していたんだろ」「って言うか、どこの風の谷のナウシカだよ」 といった批判的なものでした。

 折からのマスコミ不信 (マスゴミ) もあり、翌日12月28日には 「2ちゃんねる」 内に 「風の息づかいを感じていればのガイドライン」 スレッドが立ち、予想不可能な未来の出来事を風の息遣いで予想するようなネタを作ったり、「風」 の部分に他のものを当てはめ、「○○の息づかいを感じていれば事前に気配があったはず」 のような改変バージョンも次々と生み出され、流行することとなりました。

相次いでいた鉄道事故にまつわる理不尽なバッシング

 当時この言葉がネット上で揶揄されたのは、尼崎事故の際に 人が死んでんねんで! などというマスコミの暴言による流行語があったように、報道機関の 「感情に任せた非科学的なバッシングのためのバッシング」 が批判されていたこと、この事故の後の鉄道会社に対する執拗で極端な報道姿勢 (停車位置を過ぎて停まるオーバーランや、ダイヤの乱れ (電車の遅れ) などを大事件かのように連日伝えていた) が冷ややかに見られていたことが前提にありました。

 さらにその前年、2004年10月23日に発生した新潟県中越地震による上越新幹線脱線事故では、あれほどの震災にも関わらず新幹線は脱線したのみで1人の死者も負傷者も出さず、むしろ新幹線の安全性が実証されたとも云える事例だったにも関わらず、マスコミは 「新幹線の安全神話が崩れた」 とセンセーショナルに報じていました。 またこれら鉄道関連以外でも、あらゆる事故、不祥事に対し、素人の思いつきレベルの稚拙な批判をマスコミは繰り返していました (一方で自分たちマスコミや、特定の企業や団体などへの批判のみはほとんどない不公平さが取りざたされる事態に)。

 こうしたマスコミのやぶにらみの批判が嘲笑の対象になっていたことあり、この 「風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ」 という 「メルヘンチック」 な言い回しが、事故の悲惨さとは別に、言葉として面白がって見られていたこともあるのでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年12月27日の日記の再構成です)
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