同人用語の基礎知識

ケモノ/ 獣

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人間化した動物なのか、動物化した人間なのか… 「ケモノ」

 「ケモノ」 とは、獣、すなわち動物 (もっぱら哺乳類) やそれに近い特徴を持つ姿形をした キャラクター のことです。 人外 で、かつ 亜人 の一種とされ、獣人、あるいはセリアンスロゥプ (Therianthrope)、セリアンスロピィ (Therianthropy) とも呼びますが、日本製の アニメゲーム などのキャラクターから派生した言葉として、海外でも 「Kemono」 と呼ばれるケースも増えています。 そうした特徴を持った半獣半人のキャラクター、もしくはそうしたキャラクターに 萌え を感じる人は、ケモい、ケモラー などと呼びます。

 半獣半人のケモノと云うと、一般でイメージするのはホラーや妖怪モノでおなじみの 「狼男」 でしょう。 獣化、変身譚としての狼男の場合、変化後の顔は完全な狼もしくは狼に近い人面で体も毛むくじゃらですが、人間のように二足歩行し、体の全体的なシルエットも人体のようになっています。 また顔のパーツで云えば、目は人間と同じような感じでも、鼻の部分は黒くて湿っている感じで、また鼻と口部分が犬などのように一体化して突き出た 「マズル」 であることが求められる場合もあるようです。 合わせて口元には が必要かもしれません。

 これが 同人おたく、サブカルの世界でいう 「ケモノ」 に、もっとも近いイメージではないかと思います。 なお精神や感情、すなわち 「心」 も、人間のそれと同じか極めて近い場合が多く、人語を理解したり、会話が行える場合も多いようです (そうでない場合も結構ありますが)。

 一方で、外見が完全に動物のケースももちろんあります。 とくに熱心でコアな ファン はこちらを好む場合も多く、「獣人」 という言葉があるのだから、ケモノはケモノでしかない 」 との意見も徐々に強まっています。 ファン層の拡大に伴う作品の多様性もあり、見た目も行動も、そこから類推される心や思考も、全てが動物そのものといった作品は増える傾向にあります。

人間の体に動物のパーツをつけただけみたいなケースの取扱い

 ところでケモノにも様々な種類があり、広く動物全般を指す場合もあれば、顔が人間っぽく全身が毛むくじゃらのもの、上半身が人間で下半身のみが動物のものなども広義でケモノとする場合も多いのですが、単に動物の体のパーツ (例えば ネコミミ などの 獣耳) が付いているだけのものは、通常ケモノとは呼びません。

 似た 萌え属性 ではありますが、その捉え方には温度差があり、コアなケモノのファンの中には、ネコミミなどを 「単なる猫の コスプレ」「あくまで 擬人化 であり 「種族」 ではない」 として、同一視されるのを避ける空気があります。 いわゆる 「ケモノ成分」 は濃いものから薄いものまで グラデーション があり、一方に傾きすぎると 「何でもかんでもケモノ扱い」 になりかねない裾野の広さがあります。 ただし最初の第一歩がネコミミだった…という人は結構いるようです。

 ちなみに 「多乳」 という、女性の乳房 (おっぱい) が2つではなく動物のようにたくさんある独特の作品ジャンルがあります。 単に可愛らしい猫耳や尻尾をつけただけのキャラとは一線を画す表現ですが、こちらも全身が毛に覆われているとか、その他の動物の特徴を複数持っていない場合は、通常ケモノとは呼びません。

人間と動物の間で揺れ動く…人間らしさが際立つ 「ケモノ」

 例として前出した狼男や人虎などもそうですが、作品の傾向としては伝説や民間伝承されて来たような怪奇・恐怖モノ、妖怪や異種族の登場する ファンタジー やホラーなどで良く見られるキャラクターの ジャンル で、人間との関わり合いを持った世界に登場するケースが多いものです。 これはひとつには、異形の 「人間っぽい何か」 を登場させることにより、「人間らしさ」「人間とは何か」 を、よりハッキリと表現し、提示することができるからでしょう。

 物語などでは、ケダモノのような醜悪な心を持つ人間と、人間らしい心を持つケモノとが対峙する構図となっていたり、人間と動物とが争う中で、自分は人間なのか動物なのかと思い悩むケモノキャラクターの内心の葛藤などがしばしば描かれたりします。 こうした物語展開や テーマ は、他の人外モノも同じ構造を持っていますし、人間同士における違う国籍、人種、性別などでも見られる切り口でしょう。

 その後ケモノの人気が高まるにつれ、作品数も増大。 ジャンルが拡大するとともに、ケモノのみの世界で進行する物語や、ケモノの単体 イラスト の形で作品を発表する 作家絵師 も非常に増えています。

ケモ化・擬人化した場合の 「オスメス問題」

 人間をケモ化したにせよ動物を擬人化したにせよ、動物を モチーフ とした作品で避けて通れないのが 「オスメス問題」 です。 例えばライオンの場合、立派なたてがみを持つのはオスだけです。 クジャクも大きく色とりどりの美しい飾り羽を持つのはオスだけです。 この他、オスメスで容姿に大きな差があり、オスの姿が 「その動物らしさ」 の記号として 認知 されているケースは多いものです。

 一部の動物のオスがメスに比べて派手で美しい姿をしているのは、求愛や威嚇のために必要だからですが、例えばライオンやクジャクを美少女化した場合、実物の動物と同様に 地味 なメスの姿をモチーフとすべきか、オスの 「いかにもその動物っぽく見える姿」 をモチーフとすべきかは、しばしば議論の対象となる問題です。 たてがみのあるライオンを美少女化した場合、自動的に 性転換 を行ったのと同じになってしまうからです。

 このあたりは海洋生物や昆虫などでも同様の問題がありますが、実際の作品によって扱い方は様々です。 もちろん 「ライオンの美少女化ではなく、ライオンのイメージの美少女化だ」 と強弁することもできますが、その作品に 作者 が何を込めたいのか、ファンが何を求めているのかで、様々なやり方や 解釈 があるのでしょう。

他の概念、萌え要素と組み合わされるケースも

 ケモノと他の様々な 萌え要素 が復号するケースもあります。 例えばケモノと ショタコン (ショタ) が複合するとケモショタ (ショタケモ) になりますし、ロリータ (ロリ) が複合するとケモロリ (ロリケモ) となります。 ケモノに ホモ の要素があれば、ケモホモ (ホモケモ) になったりします。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年1月18日)
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