同人用語の基礎知識

絵師

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絵を描く職人… 「絵師」

 「絵師」(えし) とは、プロ・アマ問わず イラストマンガ などを描く人、絵描き、作家 のことです。

 本来は浮世絵などの原画を描く人、浮世絵師などを指す言葉で、その後伝統的な絵画 (日本画や、それ以降は西洋画なども) を描くアーティストを指す言葉として使われています。 似た言葉に「画家」 や 「画伯」、「画師」、「イラストレーター」、広義の 「クリエイター」 などもあります。

 1980年代頃後半〜1990年代にかけて、マンガや ライトノベル の挿絵、ゲーム のキャラクターデザインや、同人 としての 版権もの二次創作 の絵を描く人などを総称する言葉として 「絵師」 が盛んに使われるようになり、定着しているようです。

メディアミックスと共に広まる、独特な賞賛の表現 「絵師」

絵師を前面に打ち出した展示会なども開催 「絵師100人展」
絵師を前面に打ち出した展示会なども開催
「絵師100人展」(2011年5月3〜8日/ 秋葉原)

 使われるようになり広まったきっかけとしては、パソコン通信 や、それらと親和性の高いゲーム関連雑誌、サブカル系の 読者 投稿雑誌などで、ファン らが特定の作家などに対する尊称として使うようになったのが発端です。

 「仕事師」「勝負師」 のようにどことなく古風な云い回しが、ストイックな職人 (芸術家ではなく、技術を極めた人) を賞賛するようなニュアンスにとても合致していたのでしょう。

 また一般的な職業画家やイラストレーターなどと違い、サブカル関連の作家の多くが様々な創作形態で作品を発表していて、「漫画家でもあり挿絵作家でもありキャラデザでもありゲームクリエーターでもあり、どれが本業ともいえないくらい混ざり合っている」 という存在を、一言で言い表すのに都合の良い言葉だというのもあるのでしょう。 いわば 「おたく職人」 と申しますか。

 それ以前までは、これらの仕事は専門職として、それぞれある程度まで明確に分かれていたものでした。 しかし おたく 向けの ファンタジー 関連の作品展開がしばしば 「メディアミックス」 となり、ひとりの作家の作品 (というより、絵や絵柄) があらゆる媒体で集中的に使われるようになったのがちょうどこの頃でした (「月刊少年キャプテン」(1985年/ 徳間書店) や 「月刊コミックコンプ」(1988年/ 角川書店) など)。 「絵師」 という言葉は、そうした世相によく合っていたのだと思います。

 画材 もパソコンを使い、MAG による 16色CG などの ドット絵 はそれまでの絵の描き方と全く違っていて、画家やイラストレーターなどではニュアンスが伝わらないというのもあったのでしょう。 またいわゆる 「コマ漫画」 を描かない絵描きを、漫画風の絵を描くから漫画家と呼ぶのも違和感があります。 その意味でも、「絵師」 は、とても使いやすい言葉なのでしょう。

 ただし 「絵師」 という言葉は前述の通り本来は日本画の歴史的な巨匠などにしばしば使われていた言葉ですし、妙に尊称としてのニュアンスがある 「絵師」 という言葉をことさらに使う風潮については、言葉そのものが不快だ、気持ち悪いと思う人も結構いるようです。

カテゴリなどに接尾して説明することも

 描いている ジャンルカテゴリ の名称などに 「絵師」 を接尾して使う場合もあります。 例えば 萌え っぽい キャラ やイラストばかり描く人は 「萌え絵師」、ロリ なら 「ロリ絵師」 などと、より傾向を際立たせた表現で呼んだりするケースもあります。

 なお 「絵師」 には尊称の意があるので、あまり本人が自称する言葉ではありません。 しかし卑下、自虐言葉としての 底辺絵師「ヘタレ絵師」 とか、自虐もしくは嘲笑のニュアンスを持つ ハンコ絵 から転じた 「ハンコ絵師」、まだ駆け出しだ、未熟だなどの意味の 「見習い絵師」 なんて表現は、自称する場合もあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2002年8月10日)
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