「萌える」 パーツ、断片を系統だてて整理、萌え要素
「萌え要素」 とは、アニメやマンガ、ゲームに登場するキャラクターの持つ 「萌え」 を感じるポイント、パーツや断片を類型化したもののことです。 例えばあるキャラクターの行動パターンや性格が 「ツンデレ」 だった場合、「このキャラはツンデレ要素を持っている」 などとなります。
またその 「萌え要素」 に反応する趣味や好みを持っていることは、「萌え属性」 がある などと云います。 ただし 「要素」 と 「属性」 を同じような意味で使う場合もあります。 また 「萌えポイント」「萌え成分」 などと呼ぶ場合もあります。
キャラクターの類型化などから、萌え要素と萌え属性の概念が
元々マンガやアニメ、ゲームの作品全体としての傾向や、登場するキャラクターのタイプを類型化する中で、その作品やキャラの特徴となるパーツや断片 (性格、外見、服装、しぐさ、立場、設定など) を要素として抽出、整理する作業が作者や出版、あるいは作品のファンらが集う研究会や同人やネットのコミュニティでは昔から盛んに行われてきました。
とりわけゲーム (美少女ゲーム) の登場人物を 「攻略」 の必要もあり詳しく分析し、データベースとして蓄積する中で登場した様々な特徴が、こんにちの萌え要素の原型であったといって良いでしょう。 「パソコン通信」 などネットの登場で情報発信や共有がスピーディーに行えるようになったこともあり、90年代からゲーム世代に急速に理解され、またニュアンスとして使われるようにもなりました。
2001年になり、「動物化するポストモダン オタクから見た日本社会」(東浩紀/ 講談社/ 2001年11月) といった 「おたく」 に対する研究や論評の中でも提唱、似た文脈の中でたびたび触れられ (論者によっては批判的なトーンも多い)、人口に膾炙。 外部から、「よく分からない生き物と文化」 である、「おたく」 や 「萌え」 を理解するための方法、キーワードともなっています。
元々の実用性のある作品情報データから 「おたく」「萌え」 を洞察し説明する手法・文脈のひとつのような扱いになり、またそこを出発点に 「要素」 といった分かりやすい言葉を使って作品や登場キャラを理解するための実用性のあるデータとして再構成されるようにもなっていった感じでしょうか (ただし用語としての 「萌え要素」 と、「萌えの要素」 ってのは、成り立ちや定義の点で似て非なるものとも云えます)。
代表的な萌え要素、キャラ類型化のパターン
| 性格 | ツンデレ ヤンデレ デレツン タカビー ボーイッシュ(男勝り) ドジっ子 アホの子 サド マゾ マッドサイエンティスト 寡黙 |
| 外見 |
二次元 巨乳 貧乳 (つるぺた) 褐色肌 ツインテール 金髪 おかっぱ ネコミミ 虹彩異色(オッドアイ) アホ毛 |
| 服装 | メイド服 学生服(セーラー服) 巫女装束 婦警(女性警察官) ナース服 スチュワーデス(フライトアテンダント) ミニスカート ミリタリー チア ランドセル フリル プリーツ ブーツ 編み上げ靴 オーバーニー クマのパンツ 縞のパンツ 包帯 眼帯 メガネ リボン |
| 立場 | 妹(義理の妹) 貧しい みなしご 幼馴染 双子 奥様 未亡人 幼女 男装の麗人 |
| 設定 | ロリ ショタ お姉 病弱 優等生 運動神経ゼロ のろま 10歳 14歳 17歳 お嬢様 ふたなり 性転換(異性別化) 魔女っ子 魔法少女 小女子(こおなご) |
なお、例えば1対複数でエッチするとか、痴漢行為、陵辱とかぶっかけ、エッチのプレイ内容やその描写、あるいはストーリーが 「泣けるかどうか」 などに対する好みの要素や属性、いわばシチュエーション萌えとも云うべき要素もあります。 また作品のストーリーではなく、ただひたすら登場キャラに萌えるだけの、「キャラ萌え」 なんて表現もあります。
ゲームなどの未購入者が購入の参考にしたり、ゲームの話題で盛り上がったり
もちろんこうしたキャラクターの性格設定とその分析は、マンガやアニメの時代にも、もっと遡って古典小説や民話の類にも出てくるものです。 しかし短時間である程度先読みして自分で判断が可能な小説やマンガなどのキャラや (ただしネタバレの危険性も伴う)、まだ連載や放送の途中であって誰も先がわからずその判断ができないマンガやアニメと違い、ゲームの場合は発売された時点で、先んじてプレイした人が登場するキャラの特徴をある程度、あるいは全てをつかむことができます。
時間をかけて自分でそれを確認することもできますが、ゲームの場合は購入し、ある程度以上の時間をかけ実際に自分でプレイするまでは、そのキャラがどのようなものなのか、あるいはそのゲームに自分の好みのキャラが出てくるか、分かりづらいものがあります。 そこでゲーム紹介や攻略情報、ゲームのレビュー系の雑誌やコミュニティやその他の情報集積地で、ゲームの内容の類型化、登場するキャラクターの類型化が盛んに行われ、それらのデータが蓄積されていました。
ゲームファンは自分の萌えるポイント、反応する要素を 「萌え属性」 として予め分かっていれば、無駄なお金と時間を使わずに済むので、類型化は歓迎されることとなりました。 こうしたゲーム登場キャラ (もしくはユニット) の類型化は、例えば戦術SLGにおける 「攻撃ユニット」「補給ユニット」 といった用途分け、性格分けや、「速度重視」「防御力重視」 といった分類で、元々かなりお馴染みのものでした。
これらの分類はゲーム開発者も当初から強く意識していましたし、攻略本を発売している出版社の編集者も行っていたものです。 それが好みの属性として意識され 「俺はスピード重視でガンガン攻めるのが好き」「スピードユニットのないゲームはかったるくてやってられない」 のような攻略法の趣味に直結して行くのは当然で、それがそのまま、キャラの魅力こそがプレイ目的でエンディングへのモチベーションになる美少女ゲームでは、強く意識されるようになりました。
今では、ちょっと極論すると、自分自身 (ゲームファンが自分) をゲームのユニットのようにみなし、パラメータ化し、「私にはツンデレ属性があるから、この攻撃には弱い」 なんて 「ノリ」 で、キャラの要素を楽しんだり、求めたりしているようです。
人気のある萌え要素を組み合わせてキャラやゲームを設計する場合も
戦術SLGやRPGにおけるユニットやキャラの属性は、ゲームバランスを決定する大切な要素ですが、美少女ゲームなどのキャラの要素、属性などは、ゲームバランスどころか直接ゲームのセールスを左右する大きな要素です。 またその時々の流行もあり、「新しい要素を開拓する」 ような意欲的な作品が出てくる一方、既存の人気のある要素を組み合わせて販売数を稼ぐことを期待するようなゲーム作り、キャラ造形の方法も広まっています。 「ツンデレ」 が人気なら、「ツンデレキャラを入れよう」 といった感じです。
要素や属性はそれぞれが複雑に絡み合っており、意外な組み合わせが新しい魅力や属性を開拓することもある一方、「作者はこの要素を好む属性者が何を求めているかわかってない」 と反発を買うケースもあり、一筋縄ではいきません。 また以前はそれでOKだった組み合わせが、エポックとなるような作品やキャラの出現によって、一気に古びて過去のものになったり、主流から外れて売れ筋でなくなる場合もあります。
細分化する萌え要素の好み、属性
マーケティングにばかり力を入れた作品はまとまってはいるものの荒削りな魅力に乏しかったりオーソドックスな印象を持たれがちですが、個人の好み、属性の細分化も進んでいますし、萌え要素を組み合わせただけでは通用しない、難しい時代にもなっているような気がします。


