女装したり男装したり、性別問わず好きな服を着る! 「異性装」
「異性装」 とは、男性が女性用の服を着る、女性が男性用の服を着ることです。 いわゆる女装男装のことになりますが、完全に男性向け・女性向けとされる衣服だけではなく、かつてはそれぞれの性に向けられがちだったデザインや 色 の服を身に着けるといった広い意味での異性風衣服の着用を含めて考えられることがあります。 男性がピンクの服を着るなどですね。 また単に服を着るだけでなく、髪型 や化粧 (メイク)、その他外見上で異性に なりきる ためのあれこれを含むことも多いでしょう。
異性装する理由は人によって違うのでしょうが、異性に対する憧れや創作物の異性の装いを真似る コスプレ としての楽しみ方、純粋に好きな衣服が異性用だったといった理由の他、自分の肉体的な性に対する違和感や嫌悪感、あるいはある種の 露出願望 の発露という部分もあります。 一般的な露出は裸体、とくに性器を露出することですが、異性装した恥ずかしい自分の姿を 晒す ことで羞恥を感じて精神的な充足感を覚えるみたいな理由ですね。
なお自宅でのみ異性装をしたり、下着類など外から見てわからない部分でだけ異性装を楽しむ行為は 隠れ異性装 (隠れ女装・男装) と呼びます。 またかつては異性用とされた衣服が時代の変化によってそうでなくなった場合に、あえて心理的異性装としてことさらに身に着けることは 時間差異性装 と呼びます。 一部の学校や職場などで、くだけた余興や 罰ゲーム として異性装が行われることもあります。
異性装における 試し行為 もあります。 具体的には異性装をした状態で異性の公共の場、とりわけトイレなどに入ってバレないかを試す行為です (トイレチェック)。 こちらは犯罪として検挙される可能性が高いですし、入ってこられた側にとっては恐怖を感じるものでもある上、新聞沙汰にでもなれば異性装そのものへの偏見を助長するものでもあるため、絶対にしないように心がけるべきでしょう。 他の同好の士への配慮に欠く迷惑行為や裏切りでもあります。
コスプレにおける異性装
おたく や 腐女子、あるいは 同人 の世界ではコスプレにおける異性装が真っ先に思い浮かびます。 とくに女性は男性が中心になって描かれる 作品 に対する様々な分野でのモチベーションが高く、コスプレなども男装で参加する人が昔から多く存在します。
これは男性の女装がしばしば嘲笑の対象や 変態 のような扱いをされがちなのに対し、女性の男装に関しては男装の麗人といった 概念 も昔からあり比較的好意的に見られがちで、心理的障壁を低くしている部分はあるでしょう。 女子校ではボーイッシュな女の子は同性モテの対象でもあり、そこからエスカレートしたみたいな人も結構います (で、卒業後はその反動からか、やたらとフェミニンな感じになったり)。
服飾文化的にも、男性専用の服と云うのは意外に少なく、女性が身に着けても 「男っぽい服を着た女性」 に留まるのに対し、女性服はスカートやドレス、ワンピ服 などいかにも女性専用といったものが少なくなく、女っぽい服を着た男性を通り越して女装癖のある変態みたいな扱いがされがちな部分もあります。 加えて男性の女装に関しては、いわゆる 「おかま」 といった印象も付与され、とかく厳しい目が向けられがちです。
また女性と云えば化粧がありますが、女性の男装時にはさほど問題が生じなくても (女性がする化粧だから違和感がなく、また化粧慣れしている部分もあります)、男性の化粧には強い忌避感が生じがちです。 ムダ毛、とくにすね毛の問題もあります。 これらの手入れがされていない状態の女装はどうしても汚くなりがちで、女装全体を汚装とか珍装と呼んで批判する声も小さくないなど、何かと苦労する ジャンル となっています。 このあたり、女性コスプレイヤーなどは女性っぽさが出てしまう胸を隠す (胸つぶし) のを徹底するとか、かなり配慮している人が少なくない印象で、身だしなみに対する感覚が男女でそれなりに違うのかなという気もします。
身も蓋もない話になると、単純に 「似合ってない」 ということなのでしょうが、これは本人の容姿・体形的に異性装が難しい場合もさることながら、異性装にこだわるあまり、極端な異性のイメージを模倣したり異性要素を 盛り しがちという部分もあります。 例えば女装なら、現実の女性ならまずしないであろう真っ赤な口紅を塗るとか、自分の年齢とかけ離れた若い女性や ギャル のような服を選んでしまいがちといった部分です。 実際の女性ですら身につけ着こなすのが難しい化粧や服装をいきなり男性がしても、違和感ばかりが目立つ結果になりがちです。 もちろんそれでも、本人がしたいようにすれば良いだけではありますが。
筆者 は女装の 趣味 はありませんが、女だらけの家庭や 環境 で育ったこともあり子供の頃にあれこれが混乱して少しだけそちら方面に傾いたことがあります。 何であたしだけちんこがあってフリフリの服を着れないんじゃみたいな。 自分で云うのも何ですが、目はでかいしまつげが長く二重で、わりと女の子っぽい容姿だったので、小さい頃は女の子っぽい服を着せられたこともあります。 思春期の頃になると自身のそれへの嫌悪からことさらに男っぽい装いをするようになりますが、別に他人のそれに強い忌避感情はなく、友人知人の コスプレイヤー が女装することにほとんど違和感は覚えません。
しかし単に女ものの服を着ただけみたいな女装を見ると、「自分とは異なる性への リスペクト に欠けるのでは?」 とか 「自分の好きな キャラ を装うのなら、もう少し頑張ってみては?」 と思うことはあります。 いやまあ、徹頭徹尾個人の自由ではありますし、自分の好きを全面に出せることを羨ましく思ったりもしますが (半分嫉妬かも知れない)。
「キャラが好きだ」 と 「そのキャラになりたい」 とは必ずしも同じではない」 というコスプレそのものに違和感を持つ人の考えもそれはそれでひとつの見識だと思う一方、別に個人の好きでいいじゃんとは思います。 そもそもおたく的なコスプレとは全く異なる分野での異性装も昔からありますし。 とはいえあまりに汚らしいのは、同じキャラや性を持つ別のファンからは、そのキャラや性を汚されているように見えて不快に感じるものでもあるのでしょう。
「こんなに可愛いのに女の子のわけがない」 倒錯した価値観も
時代を経て性の多様性がうたわれたり、ユニセックス やジェンダーレス・ジェンダーフリーの時代となり、女装を含めた異性装にそれほど極端な忌避感や嫌悪が生じなくなってきました。 また ネット の普及で情報の 共有 がされるようになり、異性装の完成度というか レベル もかなり上がってきて、状況は変化しています。
とくに おとこの娘 と呼ばれるような男性の異性装は、ほとんど女性と見分けがつかないレベルであり、むしろ本物の女性以上の価値を感じる層も生まれています。 ある意味、「見た目が可愛い女の子で中身が自分たちと同じ (感性や趣味を持つ) 男って最高じゃん」 みたいな価値観も生じています。 これがエスカレートして、「こんなに可愛いのに女の子のわけがない」 みたいな倒錯した意見も半分 ネタ として生じており、それはそれで新しい時代が来たみたいな部分はあります。
一方、ネットの世界では昔から ネカマ がいますし、スマートフォンの自撮り加工アプリで性別を変える、VTuber が バ美肉 するなど、実際の自分の身体に異性の服を着るのではなく、バーチャル・疑似 な世界で異性を身にまとうことは激増しています。 これは異性装だけに留まらず、「違う自分になる」 ということが、いかに多くの人にとって魅力的なものであるかのひとつの証左でもあるのでしょう。
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