同人用語の基礎知識

男の娘/ おとこの娘

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こんなに可愛いのに女のはずがない…「おとこの娘」

 「男の娘」「おとこの娘」 とは、要するに女性の格好、もしくは女性にしか見えない容姿をした男性 (少年、幼い男の子) のことです。 場合によっては コスプレイヤー などが異性装すること、「女装男子」「女装子」「オトコ娘」 のことを指す場合もあります。

 それ以前の実在人物のケースで比較的よく使われる 「ニューハーフ」 あるいは 「おかま」「女装男」 なんてのが近いのでしょうが、「男の娘」 と表記される場合にはしばしば アニメゲームキャラ、いわゆる 二次元 の男性や、それから直接影響を受けているリアル男性を指す場合に使い、男性側から見た時の 萌え要素 のひとつとも認識されているようです。

 関連性の高い 属性 としては、ふたなり、両性具有 だったり、女体化性別受け)などがありますが、あくまで女性の服装や髪型 (異性装、女装) をしているだけで体や性自認は男性のままというのがポイントでしょうか (実在の男の娘の場合、女性の興味をひくために女装する場合も多い)。

 男性の 読者ファン による軽度の ショタ 趣味の発露だという意見には説得力がありますが、その世界では以前から 「女顔ショタ」 などといったものもありますから、かなり近い属性なのでしょう。 その後、この世界が話題となり広まると同時に、いわゆるトランスジェンダーの受け皿としての意味も持つようになっています。

 「男の娘」 に興味を見つ男性の場合、異性である女性に対しては気を使ったり緊張してしまうけれど、同性である 「男の娘」 ならば何の遠慮も気の使い方もしなくて良い、いわば 幼馴染 のような気安さ、距離の近さがあります。 それが美少女の姿をしている、しかもその容姿を気にし、事あるごとに恥ずかしがって頬を赤く染める…なんて状況は、とても居心地がよく、楽しい状況でしょう (ここらは軽度のショタやホモにも近い感覚です)。

 後には女性 (いわゆる 腐女子 の一部からも強い支持を受けるようになり、BL の関連で作品が作られたり、ファンらによる 二次創作 やコスプレ(女性が男性の女装をする) が行われ、一周回っている のではないかなんて意見もあります。

三次は無理でも二次なら萌え萌え?

 こうした 「性別の混乱、あるいは混濁」 を、ある種のチャームポイントとして捉える作品は マンガ やゲームだけでなく、映画や小説の世界でも昔からあります。 親に女の子のように育てられた…とか、姉のオモチャとして女装させられている年端のいかない弟とかという設定はおなじみです。

 「ショタ」 にせよ 「同性愛」 にせよ、ある種の性嗜好や趣味、あるいは性癖を多かれ少なかれ誰でもが持っているものですが、それにしても 「女装した男の子に萌える」(しかも女性ではなく男性がそれを見て喜ぶ) というのは、興味のない人からすると理解しづらい、かなり倒錯した世界です。

ストップ!! ひばりくん!
ストップ!! ひばりくん!」
江口寿史

 それがひとつの ジャンル として成り立つほどの人気 (需要) を持っているのが驚きですが、自分の趣味や好み、もしくは必然を、描き手も読み手もある程度オモテに出せる 同人 の世界ならではの現象なのでしょうか。

 まぁ実際は創作物の中のキャラだからこそ魅力を感じる人が大半なんでしょうが (リアルでそういう男の子とあれこれしたい…なんて考えてない)、そういう男性が見ても十分に魅力的に感じられるキャラを描ける作家の力量も、かなりのものと思います。

 男っぽい振る舞いをする 俺女、俺っ娘 などもそうですが、ファンタジーの世界のキャラだからこそ魅力を無条件に受け取れる、ある種の記号になっているのかも知れません。 ただし現実の男性、コスプレイヤーなどが行う異性装などは、苦手な人も少なくないようです。

 言葉としては2000年代初めに ネット で使われるようになって定着した比較的新しい用語で、2000年代後半は、女装男子 (それもありえないくらいレベルが高い) が目立つようになり、興味半分のマスコミなどが報じるなどしてある種のブームのような扱いにもなっていますので、いきおい露出も多くなっています。

「ストップ!! ひばりくん!」 の着替えシーンにドキドキ…

 こうした傾向を持ち、おたくや腐女子の世界に近い作品の初期の傑作、およびキャラクターといえば、アニメ化もした人気ラブコメ風ギャグ漫画、「ストップ!! ひばりくん!」 (江口寿史/ 集英社/ 週刊少年ジャンプ/ 1981年) のヒロイン?、高校生の 「大空ひばり」 でしょう。 またそれより少し早く、少女マンガの世界で人気となった作品、「パタリロ!」(魔夜峰央/ 白泉社/ 花とゆめ/ 1978年) に登場する 「マライヒ」 も、忘れられない存在です。

 これらのキャラは、中身は男性で外見は女性、一人称は 「僕」 となっていて、むしろ 「僕少女」 とか 「俺っ娘」 などとも密接に関係する大きな存在感を持っていますが、性格的には姉御肌、男性っぽいさっぱりとしたところ、きっぷのよいところもあり (マライヒなどは、後半は完全に女性化してますが…)、2000年代に人気となる 「男の娘」 とは、かなり異なった部分もあります。

 1987年に登場した 「らんま1/2」(高橋留美子/ 少年サンデー/ 小学館) の主人公、「早乙女乱馬」(普段は少年だが、水をかぶると美少女になる) や、1992年に登場した 「バーコードファイター」(小野敏洋/ 月刊コロコロコミック/ 小学館) のヒロイン、「有栖川桜」(主人公の幼馴染で、性同一性障害でいじめられていた過去を持つ) の存在感も、独特なものがあります。 男性であるので、一緒にお風呂に入ったりもできますし、まだ友情と愛情の区別がピンとこない、いたいけな少年たちを大いに惑わせていたことでしょう。

 その後は、外見も中身 (性格) も完全に女性…みたいな男性が、こうした 「男の娘」 の世界では主流となってゆきますが (ただし当時は 「男の娘」 という名称はなく、あくまで 「オカマキャラ」 でした)、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋本治/ 集英社/ 週刊少年ジャンプ) の 「マリア」(麻里愛) も、特筆すべき存在でしょう (当初は顔や性格だけが女性でしたが、その後心身ともに女性になってしまいましたが…)。

 創作物の世界では、外見が女性で中身は男性というのは、単なる 「設定」 に過ぎないわけですが、男性であるからこそ、開き直って大げさなお色気シーンが描けたり、通常ではありえない シチュエーション (一緒にお風呂に入るなど) が描けるようになります。 こうした点がキャラの魅力をより一層盛り上げ、「可愛ければ、性別など些細な問題だ」「こんなに可愛いのに、女のわけがない」 といった、 ネタ 的な意見ながら、一面の真実はえぐるような状況を作れる原動力なのかも知れません。

 ちなみに筆者は、礼儀と作法のセーラー服美少年家元、セーラー玉三郎、イェーイ! が頭から離れません…。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2007年11月10日)
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