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機材オタ/ 機材オタク

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オーディオ機材は音楽を楽しむために非ず? 「機材オタ」

 「機材オタ」(機材オタク) とは、もっぱら趣味の世界において、その趣味で使う 「機材」 に異常なほど凝り出す人、数を集め出す人、あるいはそうした傾向を指し示す言葉です。 広い意味の機械・メカおたく、あるいは道具オタの一部で、そのまんまですが、機材の おたく との意味になります。 機材厨とも。 趣味ではなく仕事の分野でも、本人の好みや趣味性を最大限発揮したマニアックな機材選びをしている場合には、あえてこう呼ぶケースもあります。

 分かりやすい例で云えば、カメコ 御用達の一眼レフカメラにおける本体やレンズ、三脚だったり、オーディオにおけるアンプやチューナー、スピーカーだったり、あるいは音楽活動におけるギターやエフェクター、アンプ、ミキサーだったり、メカニカルな工業製品がその興味対象となります。 またカメラにおけるフィルターやブラケットや防湿庫、オーディオにおけるケーブルやボード、ラックなどなど、アクセサリーもその範疇に入ります。

 機材オタはこれら機材やアクセサリーの情報収集や選別や購入、その調整や手入れに並々ならぬ情熱を傾け、場合によっては趣味の道具としての本来の位置付けを逸脱する形で熱中してしまう人たちだと云えるでしょう。 もちろん、それぞれの機材のカタログ集めや新商品が発表される イベント への参加なども、とても大切な活動のひとつです。

 なお、こうした機材オタがいかにも好みそうな機材、マニアックな機材は、オタク機材とかオタ向け機材、マニア向け機材などと呼ぶ場合もあります。 また機材のコレクション的な収集や使いつぶした上での更新ではなく、短期間に頻繁に買い替える人 (買ってもすぐに似たような機材を購入し、それ以前のものを下取りに出したり売り飛ばす人) は、とくに機材転がしなどと呼ぶ場合もあります。

測定音ばかり鳴らすオーディオ、チャートばかり写すカメラ…

 趣味の目的は人それぞれでしょうが、例えばオーディオについて考えるとすると、その趣味本来の目的は 「音楽を楽しむ」 ことでしょう。 アンプやスピーカーを含めたオーディオ機材やそのシステムは、原則的には 「その音楽を奏でるため、またより良く奏でるため」 の道具に過ぎません。

 しかし過度の機材オタとなると、音楽を鳴らせて聴くのは二の次三の次となるケースも多く、ただ眺めたり触ったり、あるいは手入れしたりあれこれセッティングすることこそが、その趣味の中心的な活動や関心事となります。

 普通はこれらの方法で機材の特性を理解した上で調整し、好みの音楽を鳴らすようになるわけですが、機材オタはしばしば音楽の視聴へは向かわず、その準備段階であろう特性把握の段階で満足したり、延々と終わりのない調整の追い込みに熱中し続けるわけですね。

 さらに音を鳴らす場合でも、「好きな音楽」 ではなく、「機材の能力を最大限に発揮できる音楽」 を好んだりします。 例えばスピーカーの解像感や分解能を重視する機材オタなら、ボーカルや各楽器がしっかり分離されて録音されている音源 (音楽CD) を好みますし、極端な場合では、音楽ではなく特定の周波数音が定位して鳴っているだけの音源や、測定器での計測音ばかり聴いているような人もいます。 人間の耳では聞き取れないような音を鳴らし、それがちゃんと鳴っているかどうかだけ調べて一喜一憂するなど、もはや音楽を聴くための努力ではなくなっていると云えるでしょう。

 また多くの場合で スペック (性能数値) を重視する傾向があり、それが嵩じてスペック厨 (機材のスペックばかり見ている人を迷惑な 厨房 扱いする言葉) に至るケースも多くなっています。 こうした人は、自分の好きな機材やメーカーを熱心に同趣味人に勧める一方、ライバル関係にある機材やメーカーをわずかにスペックが劣っているだけで強く批判したり憎んだり、ネット掲示板 や自分の ブログ などで、やたらと 叩く ような傾向もあります。

 しかも自分の好きな機材やメーカーがスペック的に優れているうちは鼻息も荒く ドヤ顔 を決め込んでいるものの、いざ他機材に推しの機材が敗れると、今度は質感だの市場占有率だのコスパだの歴史だの、良くわからないその時点での自分基準で過去発言と矛盾した擁護や他機材批判を続けたりします。 また批判対象が機材やメーカーのうちならまだマシで、しばしば 「そうした機材を使ってる人」 をも敵とみなし、誹謗中傷や罵詈雑言を浴びせたりします。

 こうした傾向が一部にあることもあって、「機材オタ」 は、一概には云えませんが同じ趣味の ファン から 「あいつは他人の機材を ディス っているだけだ」 などと煙たがられることもしばしばあるなど、一般には否定的、あるいは侮蔑的に呼ばれたり、そう自認する本人が自虐・自嘲気味に使うことが多い言葉ともなっています。

同じ趣味の人だと思うから、軋轢も生じるのかも

機材オタが多いカメコ
カメラ趣味には機材オタが多いもの

 ただし前述した 「オーディオは音楽を楽しむ趣味で、オーディオ機材はそのための道具に過ぎない」 との考え方も、別の見方をしたら偏った意見かも知れません。

 世の中には色々な趣味があり、「音楽などどうでも良い、機材こそが好きなのだ」「自分の好きな機材が、たまたま音を鳴らす カテゴリ の機材だっただけだ」 という人がいても別におかしなことではないし、他人を攻撃せず自分のお金で機材を買い揃えて楽しんでいるだけならば、別に他人から批判されるいわれもないでしょう。

 例えば腕時計のマニアは結構いるものですが、正確な時間が知りたいとの実用性だけで考えたら、数十万円から数百万円もする機械式時計など必要ないでしょう。 それでもそうした時計に需要があり、趣味として世の中に広く認知されているのは、機械類に実用性を超えた魅力があり、それを愛してやまない人がたくさんいるからに他なりません。 またどんな趣味の世界でも、それを楽しむ時には、単純に楽しいという気分の問題とは別に、「よりその趣味の世界を極めたい、一流とされるものに触れたい」 という感情が湧くのは、いたって自然なことでもあります。

 それなのにしばしば機材オタとされる人たちが必要以上に煙たがられやすいのは、前述した他機材への叩き行為の他、こうした人たちにオススメの機材を訊ねたら延々と機材話をされた、やたらと自慢ばかりしてくる、こちらの機材を安物、場合によってはゴミ扱いし、「お前は何もわかってない」 ようにあしらわれる、金にあかして買いあさっているだけの姿が美しくないなど、機材オタというよりは、痛い おたく特有の振る舞いをする人がごく一部にいて、それがネットなどを通じて悪目立ちするからなのでしょう。

せっかく散在して機材を揃えても…「機材が泣いている」 場合も

 またカメラ趣味における写真のように、活動によって外から見て分かりやすい成果物が出る機材オタの場合、本人の撮影技術が稚拙なら高級機材を使ってもロクな写真にならず、はたから見ていて滑稽に感じられ 「機材が泣いているぞ」 と突っ込みたくなる部分もあります。

 素晴らしい写真を撮るカメラマンがどれほど高額な機材を持っていても、他者から侮蔑的なニュアンスで機材オタと呼ばれることはあまりありませんから、分不相応で機材だけ立派な人、せっかくの機材をまるで使いこなせていない姿が揶揄したくなるものなのでしょう。

 これはオーディオなどで、ろくに音楽の知識がない人、あるいは本来なら広い場所で大音量で鳴らさないとその真価が発揮できない大出力アンプや大口径スピーカーを、無理やり小さなアパートの部屋に入れて窮屈になりながら小音量で聴いているような姿も同じでしょう。 機材の知識には多少長けていても、肝心の使い方がまるで分かっていない、宝の持ち腐れであるという訳です。

 もちろんこうした悪名の中には、自分には手の届かない高級な機材を持っている同趣味人を妬み、ことさら悪しざまにいう人たちの声に引きずられている部分もあるので、一概に機材オタばかり批判されるのも不公平なのでしょうけれど。

機材オタがメーカーにお金を落としてくれるからこそ…

 ともあれ、趣味を行う上で道具が必要となるものはたくさんありますし、どんな道具でも上を見たらキリがありません。 自分で手に入れることができる範囲で機材を買い揃え、少しずつランクアップしていくのは楽しいものですし、機材オタもそうでない人も、互いを尊重して趣味を楽しめるといいですね。

 そもそもこういう人たちがお金を機材メーカーにどんどん落として貢献してくれるからこそメーカーも利益が出て研究開発に投資でき、結果として安価なより良い機材が供給され、その趣味の裾野が広がっているという面もあるでしょう。 ほとんどの機材オタは人畜無害で、自分好きなものを手に入れ大切にしているだけですし。 もっとも、ごく一部の声の大きい機材オタは、初心者がドン引きするくらい機材購入のハードルを上げて、その趣味への新規参入を阻んでいるという面もあるので功罪相半ばという感じでもあるのでしょうが。

 ちなみに筆者はどちらかというと機材オタ気質がある方なので、その他の同趣味人の邪魔にならないよう隅っこで細々と機材を愛でながら、腕を磨き楽しもうと思っています。 というか、自分の知識や技術のなさを機材でカバーしようとする傾向があるので (機材オタにはこういう人も少なくないです)、多少スペックが低かったり古かったりする機材をフル活用して素晴らしい成果を出している同趣味人を見ると、自分の機材を自慢するどころか、憧れや尊敬や恥かしさを感じたりするほどです。

 筆者は コスプレ の写真などをたまに撮影しますが、何で他の人はあんなに上手く撮れるんだろうと驚いてしまいます (おまけに画処理も早くて 同人イベント の当日のわりと早い時間帯にネットにアップしたりしますし)。 まぁ コミケ などに集まっている手練のカメラマンなどは、ポートレート撮影の達人ぞろいなのでしょうから、比べること自体が間違いなのだろうと思いますが。

 なお機材集めの泥沼にはまることは、とくに 「」 と呼びます。 通常は対象物の名称に接尾する使い方となり、例えばカメラ用レンズに凝ってるならレンズ沼、オーディオならオーディオ沼などと呼んだりします。

機材オタとガジェットオタク、同じように見えてちょっと違う?

 工業製品や電気製品のうち、パソコンやその周辺機器、携帯電話やスマホ、タブレット、コンパクトデジカメ (コンデジ)、携帯ゲーム機などなど、比較的小型のデジタル機器や情報家電と呼ばれるものの一部を、とくに 「ガジェット」 と呼ぶ場合があります。 そして、そうしたものにやたらと凝る人を俗に 「ガジェットオタク」(ガジェオタ) と呼びます。

 こうした人たちの傾向は、当然ながら機材オタとかなり重複する部分もあり、実際に機材オタ兼ガジェオタでもある人が少なくないのですが、ちょっと異なる部分もあります。

 違いの一つとしては、これらデジタル機器や情報家電の商品サイクルが極めて短くスペック的にも容易に陳腐化しやすいこと、価格もそれぞれは比較的安価であることもあり、買い替えスピードが機材オタより早い点でしょう。 それに伴い、その時点その時点での流行や最先端に飛びつきやすい点、特定メーカーにあまりこだわらない点も、ちょっと機材オタとは方向性が違うケースがあるのかも知れません。

 とはいえ、機材とガジェットの違いもそれほど明確でもないですし、特定メーカーによっては 信者 とも呼べるほどの熱狂的ファンを獲得しているケースもあります (例えば Apple とか)。 前述の通り兼業している人も多いので (筆者もそうですが)、ニュアンスがわかる人だけ使い分ければいいのかな、という感じがします。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2009年10月21日)
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