オールジャンルで好きなものを好きな時に描く 「よろず」
「よろずサークル」 とは、これといった特定の活動をしている ジャンル を持たず、あらゆるジャンル、その時々で異なる カテゴリ の創作活動を行う 「何でもアリ」 な 同人サークル のことです。 「よろづサークル」「万サークル」 とも書きます。
ちなみに 「よろず」(万) とは、「あらゆるもの」「全て」 なんて意味の言葉です。 よく使われるものに、「八百万」(やおよろず) なんて言葉がありますが、これは 800万との意味ではなく、「無限」「無数」 なんて意味になります。 転じて 「よろず」 は、「何でもやるサークル」「ノンジャンルの同人活動をしているサークル」 の意味で使われるようになりました。
なおジャンルを 限定 しない 同人誌 は、よろず同人誌 と呼ばれます。 これは 「よろずサークルが発行した同人誌」 との意味ではなく、「1冊にいくつものジャンルがごちゃまぜで入っている同人誌」 の意味になります。 初期の同人誌はこのスタイルが結構多かったのですが、現在は特定ジャンルに絞った同人誌の 需要 と人気が高いようです。
似たニュアンスの言葉に、ジャンルジプシー や 雑食 というものもあります。
「よろず」 という、「なんでも屋」 の楽しさと、難しさ
言葉自体はかなり昔からあり、まだ同人サークルが狭義のサークル (複数人で運営する同好会) のスタイルが主流だった頃に、将来プロ (商業誌デビュー) を目指すような個人や、そういった人たちが集まったサークルで、「よろず」 を標榜するところがたくさんありました。 その後サークルは 個人サークル が主流となってゆきますが、「作家が、その時点で面白いと思うもの、描いてみたいと思うものを手当たり次第に描いて行く」 という行動パターンや、言葉としての 「よろず」 そのものの意味は変わりません。
ただし 「よろず」 以外の多くのサークルが、結果的に数年のスパンで見たら微妙にジャンルを移りながらも (前述の 「ジャンルジプシー」 など)、基本的にはその時点その時点で特定ジャンルにこだわって創作活動などをしているケースが非常に多いので、短期間もしくは同時期に複数の作品を 「浮気性で渡り鳥」 しながら 「つまみ食い」 しているかにも見える 「よろず」 は、人によっては 「作品に対する 愛がない」「自分とは違う」 と冷ややかに見てしまったり、あるいはジャンル内でその存在が意識されなかったり、意図的に無視されたりする場合もあるようです (そうでない場合もあり、また女性同人 ファン と男性同人ファンとでもかなり温度差がありますが)。 とりわけ 「人気のジャンル」 だけを渡り歩いているサークルなどは、「金儲けしか考えてない」「イナゴ だ」 などと呼ばれたりしますし。
もちろん 「よろず」 と云っても、大雑把にはおおよその活動ジャンル (やおい とか 面妖 とか) があり、個別の 二次創作 の 元ネタ となる アニメ や マンガ、ゲーム や ライトノベル の作品や キャラ を変える程度なんですが、「その作品やキャラに一途なファン」 からは、「人気のありそうなジャンルを渡り歩いているだけ」 などと叩かれやすい、難しいサークル活動のカテゴリだと思います。 ここらへんは、アイドルファンの世界でいう DD (誰でも大好き) などと似ていますね。
元ネタとなる作品の人気に依存しないがゆえに
一方で、「二次創作」 の元ネタそのもののファンより、そのサークルの作家、「作者 自身の個性」 にこそ最大の魅力を感じるファンがつきやすく、もっぱらギャグやエロなどで活動しているところが多いのですが、信者 とも呼べるような熱烈なファンを固定で持っているケースもあります。
また 「二次創作」 は 「よろず」 だけれど、それとは別に オリジナル創作 を活動のメインとしていたり、メインのジャンルは持っているけど、そちらはしばらく休止中で、とりあえず面白そうな新しいジャンルをいろいろ試している 「結果的によろず」 みたいなサークルさんもいます。
サークルとしての規模 (同人誌の 頒布 の 数や人気、知名度) は、もちろんサークルによって千差万別で、「よろずだから、どうこう」 ってのはありません。 しかし売れ残りの同人誌を頒布しづらいこと (同人誌即売会 で 「よろず」 の位置に 配置 されたり、次のイベント参加の時には在庫のジャンルとは違うジャンルに配置されるため売りにくい)、あるいは 「せっかくよろずなんだから、他人がやらないジャンルで本を出す」 なんて妙な義務感を持って マイナーどころ を追求するような人がいたりもして、個性的なサークルである場合も少なくありません。 結果、中堅どころ が小部数でのんびりとやっているようなケースが多いようです。
またそれとは反対に 「売れ線ばかりを常に追いかけていく」 ような、同人でご飯を食べているようなセミプロの 超大手 なんかも、売れているだけに比較的目に付きますね。
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