同人用語の基礎知識

やおい/ 801 その語源と定義

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やおいこそ、最重要用語の筆頭です… (^-^ ; )

 「やおい」 とは、主に女性の 読者 に向けた 「男性同性愛」(いわゆる ホモ) を扱った 作品ジャンル のことです。

 そうした作品の 作者 や熱心な読者は 「ヤオラー」 などと呼びます。 あくまで女性作家・読者による作品傾向を表す言葉で、実際にそうした行為に及ぶ場合は、前述した 「ホモ」 や ゲイ、あるいは 薔薇 などと呼び方をして区別します。

ヤマなし・オチなし・意味なし…不条理ギャグ、ダメなマンガの3要素

 「やおい」 の語源は、同人作品でありがち (?)な、「やまなし・おちなし・いみなし」 な内容を、冗談で自嘲気味に作者同士が語っていたものの、それぞれの頭文字を取り 「やおい」 と略したものからです。

 発端は不条理ギャグや、日常系のダラダラとしたギャグ要素のある 仲良し 物語を指していました。 しかし当時から 同人 の世界では女性向けの男性同性愛ものの作品ジャンルが主流でしたし、この言葉を作り、あるいは使い始めた人たちもそのジャンルの人たちが多く含まれていましたので、結果として同人作品全体の代名詞としての 「やおい」 が 「男性同性愛」 に結びつけられ現在に至っています。

 ただし結果的にそうなった面もあるにせよ、言葉が生まれる事により 「やおい」 は一人歩きし、意図的に作品から オチ や意味を排除して “終わりなくいつまでも好きな キャラ と遊べる” ようになった…作者にとってまことに都合の良い普遍性のある “ 設定 ”、“様式” として定義され確立した…とも云えます。 その意味で現在の 「やおい」 は、まさに同人の世界に生きる人たちにとって本領発揮、願ってもない打ってつけのものだったと云えるでしょうね。

 なお直接この言葉を大きく扱い同人界に定着させる形で使った最初は、1979年発行の 同人誌、「らっぽり やおい特集号」 の作家3名による フリートーク の中だと云われています。 …って云うか、云い出しっぺの特定も出来るんですが (^-^;)、ご本人が 「私がやおいの名付け親」 とか主張しておらず、したがって勝手に同人作家名をここで挙げるのもどうかと思うので伏せておきます。 どうしても知りたい方は、ネット で検索するなどしてお調べ下さい。

やおい、ヤオイ、801、YAOI…色んな表記があります

 なお、同人誌 「らっぽり やおい特集号」 発行の翌年、プロ漫画家として著名な坂田靖子さん (「再婚狂騒曲」(花とゆめ) でデビュー) らが、俗に言う金沢時代にまんが同人会 「ラヴリ」 として発行した同人誌 「ラヴリ」(第一号は 1980年発行/ 代表者/ 大藪淳子さん) の中でもたびたび触れており、こちらを直接の語源とする説もあります。 → 腐女子

 ちなみに語呂合わせで 「801」、あるいは 「8割」(C翼/ キャプテン翼の 二次創作 の同人誌が多数出ていた時、少年ジャンプの編集後記に 「全体の8割がホモマンガだった」 と書かれた事に由来)、さらにそこから転化して 「10割」(よりやおい度が高いの意)、あるいは 「数字」 などと表現をする事もあります。

 また後に、テレビ朝日系のニュース番組 「ニュースステーション」 内にて、キャスター久米宏氏が 「やめて・おしりが・いたいから」 と 「やおい」 の略語源を発言、一時期この怪しげな逸話が語源として広まっていた時期もあります(笑)。 いい間違いで 「やさい」 と呼ばれた事も (その場合の対義語は 「果物」 です)。

付録1/ 手塚治虫さんのあれこれ

 「やおい」 語源の根強い説の一つに、マンガ の神様、手塚治虫氏 (1928(昭和3)年11月3日 - 1989(平成元)年2月9日/ 代表作/ 「鉄腕アトム」「ブラックジャック」「ジャングル大帝」) が生みの親…とするものがあります。

 膨大なマンガ作品やアニメ作品の生みの親であると同時に、マンガ表現に対する理論的な権威でもあった氏が、「こういうマンガはダメなマンガ」 として、前述した 「やまなし・おちなし・いみなし」、すなわち 「やおい」 を定義し挙げたのを、当時の女性同人作家が自嘲を込めて自らの不条理ギャグ同人作品の代名詞として使い始めた…との説ですね。

 筆者 もいろいろ調べていはいるのですが、手塚さんはいくつもの漫画論や雑記の著作のほか、子供向けの講演会やテレビ、雑誌のインタビューなども頻繁に行っていて、その言動を一部でも把握するのはかなり困難となっており、未だ確証は得ていません。 天才漫画家の伝説の1つのような気もしますが、何となくありそうな気もしています… (^-^;)。

やおい穴の登場で、やおい作品はさらにパワーアップ

 ホモ、男性同性愛の 「夜の営み」 の描写で避けて通れないのが 「攻めキャラのペニスによる受けキャラへのアナル挿入」。 しかしデッサンの狂いによりあり得ない位置にアナルがあるかのような描写となったり、そもそもアナル挿入に 「美しさ」 の観点から拒否反応のある作家さんらは、そのものズバリを描写するのではなく、「なんとなくお尻を合わせている」「下半身を重ねている」 などの描写で漠然とした性行為を表わしていました。

 その後デッサンの狂いや、文章表現における 「濡れた」 などのアナルではありえない描写に対し、「肛門ではない、実際の人間の体には存在しない新しい器官」 が ネタ やシャレとして、後には一部本気で、登場キャラに設定されるようになりました。 それが やおい穴 (腐女子穴、謎穴 とも) です。

 腐女子の男性版を 腐男子 などと呼びますが、この 「やおい穴」 を是と見るか非と見るかで、ホモなのか、腐男子なのかの境目がより明瞭に分かるとも云えそうです (まぁ完全な腐女子を自認される方でも、苦手な人は多いようですけど)。

BLの台頭で、やおいの男性同性愛の代名詞としての意味も変化しつつあります

 なお最近では JUNE より 概念 が発生し多くの出版社が提唱して広まった BL (ボーイズラブ) との表現が男性同性愛の一般名詞と化しつつあり (本来は 「少年愛」 の和製英語で、10代の美少年を対象とした同性愛を指し示す言葉でした)、やおいをそのまま 「BL」 と呼ぶ作家さんも時代を下るにつれ多くなっています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年11月3日)
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