これまでの苦労は何だったのか…「ぶっ壊れ性能」
「ぶっ壊れ性能」 あるいは 「ぶっ壊れ」 とは、ゲーム において飛びぬけて強い キャラ や武器・防具といった 装備品、アイテム などを指す言葉で、ゲームのバランスを壊して (バランスブレイク) しまうような スペック・性能だとのゲーム用語・おたく用語 です。 その他にも 「ゲームの面白さを壊す性能」「ゲームのシステムが壊れてタガが外れたかのような性能」 とのニュアンスを持つ場合もあります。 「バランスブレイカー」「公式チート」(公式 が用意したチート) という呼び方もします。
単に 「強キャラ・強武器だ」 といったフラットあるいは ポジティブ な意味で使うケースもあり、必ずしも 「ゲームの面白さを台無しにする、スポイル する」 といった ネガティブ な意味だけで使われる用語ではありません。 しかしプレイ開始初期から実装されていたキャラやアイテムならともかく、ネトゲ や DLC で追加要素として途中から実装されたりすると、そのあまりの強さからゲーム進行が突然楽になってしまい、「これまでの苦労は何だったんだ…」 との虚無の心境を熱心な既存 プレイヤー ほど覚えやすいでしょう。
さらに対戦型や他プレイヤーと競う要素があるゲームでは、当然ながらそればかり使う人 (とくにそのぶっ壊れが存在するのが前提の 新規 プレイヤーなど) が増えて遊び方のバリエーションも乏しくなってしまうでしょう。 自分一人でプレイするゲームならば 「縛り」 を入れることもできますが、対戦型やランキングがあるゲームでは一方的に自分だけが損をすることとなり、心情的にも受け入れられず反発を招きがちな存在となっています。
それまでの最強キャラ・最強武器が一気に陳腐化され人権を奪われる
ぶっ壊れキャラや武器が途中で実装された場合、それ以前の最強キャラ・武器などが相対的に弱体化し、一気に陳腐化するのは避けられません。 それらをコツコツと時間をかけて集めたり育てていた人、愛用していた人にはショックが大きく、ゲームに対するモチベーションの大幅ダウン、あるいはぶっ壊れキャラや武器に対する ヘイト や アンチ な感情がプレイヤーの間であふれ、激しい ネガキャン が行われる場合もあります。
また長く続いたゲームでは、長くプレイして積み上げた高い戦力資産を持つ 古参勢 と、始めたばかりで戦力がまだ整っていない新規勢がいるわけですが、ぶっ壊れの登場によって戦力の基準が一度リセットされ、両者の差が相対的に縮小する結果にもなりがちです (それを目的とした実装もあります)。 当然ゲームのプレイスタイルにも影響しますし、ぶっ壊れ以前のプレイが当たり前の古参勢と、ぶっ壊れがあるのが当たり前の新規勢との温度差も出てきてプレイヤー同士の激しい衝突も起こります。
逆のケースもあります。 例えばいったんぶっ壊れを実装したものの評判が悪かったためにその後の新規取得はできなくするなどの対応がされて、所持プレイヤーと未所持プレイヤーの分断が生じるケースです。 こうなると今度はぶっ壊れを持っている 古参 と入手手段すらない新規とで埋めがたい圧倒的な差がついてしまうことになり、新規勢はどんなに頑張っても追いつけない壁が立ちはだかることとなり、やる気もそがれるでしょう。
いずれにせよ、結果的に 掲示板 でそれぞれの立場による バトル が発生したり、同人 における 二次創作 でキャラ人気の大幅変動、ひいては ジャンル 全体としての激変 (しばしば人気の失速を伴う) が起こる場合もあります。
ただしぶっ壊れキャラや武器を持っていないプレイヤーが、妬みや僻みでことさらに 「ぶっ壊れだ」 と言い募ることもありますから、それが本当にぶっ壊れなのかどうかは、また別の問題となっている場合もあります。 このあたりは、やたらと 「人権」(持ってないとプレイする上で自分に人権がないかのような状態になる強いキャラや武器) と騒いでいる人と同じです。
あげく、ナーフされたり…罪深い 「ぶっ壊れ」
こうした性能のキャラや武器、アイテムが登場するのには、様々な理由があります。 プログラム上の バグ によるものなどの特殊なケースはともかく、単純にゲーム提供側がバランスの 設定 を誤っただけというケースもありますし、ゲームの難易度が高すぎて新規プレイヤーの定着率が悪いとか、アクティブなユーザーや古参勢が戦力を整えてしまってあまり課金をしてくれないのでまた課金がしたくなるような性能に盛ってしまった…などが代表的です。 それでプレイヤーが喜んでくれれば良いのですが、ゲームに対する不満が爆発したりぶっ壊れを使うプレイヤーが他プレイヤーに 叩かれる ようなことがあると、バランスの調整がなされることもあります。
一般に強いキャラや武器の性能を落とす、すなわち能力値 (ステータス や パラメータ)、特技などの効果を小さくすることを「下方修正・ナーフ」(Nerf/ 弱体化) と呼びます。 バランス設定のミスが原因なら修正もやむを得ないところがありますが、入手のために ガチャ に課金したプレイヤー、ぶっ壊れ性能の味を知ってしまった肯定的なプレイヤーは当然不満ですし、ぶっ壊れによって陳腐化された既存キャラや武器の愛用者もそれで多少は留飲が下がっても、完全に満足することはないでしょう。
逆にぶっ壊れ以外の全て、あるいはぶっ壊れと同じ使い方をするようなキャラや武器をまとめて上方修正することもできますが、これはこれで作業量は膨大になる上にゲーム全体のバランスを再度崩しかねず、検証するにしても非常に多くの時間がかかり、ネトゲなどでは実現が難しい場合もあります。 結果、いずれにせよゲーム人気の下落や寿命を縮める結果となりがちです。
「ぶっ壊れ」 がカンフル剤として作用する場合も
一方で、元々難易度が理不尽に高く (マゾゲー)、それゆえ人気もプレイヤー数も今一つだったようなゲームが、適切なぶっ壊れキャラや武器を投入することでプレイしやすい難易度となって息を吹き返し、少数の古参 マゾゲー マニアを失う代わりに大勢の新規カジュアル勢を獲得して盛り上がるようなケースもあります。 この場合はそもそものゲームバランスが難しい方へとバランスブレイクしていたと考えられるので、中途実装されたキャラや武器をぶっ壊れと呼ぶのはふさわしくないケースもあります。
ただしゲームなどはリリース直後が新規プレイヤー獲得の最大チャンスなので、ある程度の期間運営を続けていてその結果低迷していたゲームにテコ入れのつもりでぶっ壊れを投入しても手遅れになりがちでもあり、むしろそれが最後の一撃となって一気に縮小・ご臨終へとつながってしまう場合もあります。 何といっても 「これまで支えてくれたプレイヤーの戦力資産の価値を暴落させること」「切り捨て」 なのですから。 こうしたケースでは、低迷していたゲーム末期の悪あがき・やけくそ対応だと冷ややかに受け取られたり、一方で切実にゲームの存続を願う ファン からは 「時期が遅すぎる…もっと早く実装していたら」 …との嘆息がなされる場合もあります。
なお 「パソコン蛾物故割れた」 という言い回しがありますが、こちらはぶっ壊れとは無関係の、単なる 誤変換当て字 による ネットスラング です。
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