同人用語の基礎知識

覇権

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圧倒的な売り上げ! 人気! 視聴率!「覇権」

 「覇権」 とは、ある時期のエポックとなるような絶大な人気・支持を得た アニメマンガゲーム などの コンテンツ を指す言葉です。 それぞれの ジャンル を接尾して呼ぶ場合も多く、例えばアニメなら 「覇権アニメ」、ゲームなら 「覇権ゲーム」 となり、そのまま 「覇権ジャンル」 と呼ぶ場合もあります。

 当初は 掲示板 などで 「覇権」「覇権アニメ」 として、もっぱら放送クール (時期) ごとにもっとも売れた新作アニメ作品について使われる言葉でした (後述します)。 しかし言葉として使い勝手がとても良いので、その後使うジャンルが広がったり、意味合いも拡散しています。

 似た言葉に 「ベスト」 や 「天下」 などがあり、対義語は 「爆死」(売り上げが上がらずコケた作品)、「オワコン」(終わったコンテンツ) もしくは 「底辺」、あるいはちょっとニュアンスは異なりますが 「質・質アニメ」(売り上げはいまいちだけど質 (クオリティ) は高いアニメ、あるいは客観的な数値ではなく主観的な質でしかアピールできないアニメやその 信者) などとなります。 最初は勢いがあったのにすぐに失速して急降下するような場合は 「下り最速」 となります。

 いったん覇権とまで呼ばれるほどブレイクした作品は、当然ながら コミケ をはじめとする 同人誌即売会 では一気に サークル の数が増えて 薄い本 が多数作られ、ファンコスプレイヤー も大勢詰めかけてジャンル全体が急膨張し、イベント会場 の勢力図を塗り替えることとなります。 場合によってはカタログの 表紙 や背表紙に抜擢されたり、東京ビッグサイト の大型ビジョンに映写されたりします。 その変化は、まるで群雄が覇権を競ってしのぎを削った戦国時代の国盗り合戦さながらのダイナミックさです。

「アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ」 で使われ 「俺妹」 でブレイク

 作品を評価する基準は様々あります。 アニメなら視聴率や DVD・BDといった 円盤 の売り上げ枚数が成功したコンテンツとしての指標の一つでしょうし、マンガならコミックの販売部数、ゲームなら ダウンロード 数やユーザー数が重要な数字となるでしょう。 一方、作品の面白さや質の高さは、これらビジネス的な数字と無縁ではありませんが、直接の関係はあまりありません。 全く売れない作品にも優れたものはたくさんあります。

覇権アニメと云えば 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(俺妹/ 2010年)
覇権アニメと云えば 「俺の妹がこんなに
可愛いわけがない」(俺妹/ 2010年)

 覇権と呼ばれる作品の場合、これら様々な作品評価の基準や指標で同時期のその他の作品と比べ圧倒的な強みを持っているもの、同じ時期に抜きんでた作品のみを呼ぶ言葉となります。 中でも具体的な数字がでてくるアニメDVDやBDの売り上げ枚数は重要で、この言葉自体も 2ちゃんねる の 「売りスレ」(アニメDVD・BDの売り上げを見守る スレ) で、円盤の販売数を直接指して使われるようになった言葉だと 認知 されているといって良いでしょう。

 元々熱心なファンや信者、あるいは アンチ が入り乱れる売りスレだけに、各種売り上げランキングの推移などで参加者が一喜一憂しがちで、ご贔屓アニメが好調なら天下取った覇権取ったなどと景気の良い言い回しがされ、アンチからは些細なつまづきをあげつらってボロクソに 叩かれ がちだったりもします。 作品の良し悪しは見る人の好みや主観に左右されますが、売り上げという客観的な数値は人気のバロメーター・指標として一定の根拠となるものですし、自分が好きな作品がその期でトップとなればテンションも上がるものでしょう。

 そんな中、人気の ラノベ を原作とするアニメ 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(俺妹/ 2010年) がアニメ化される中で、アニプレックスの宣伝プロデューサーである ゆま氏が ネット での番宣番組配信中にこうした言い回しを意識し 「覇権を取ります」 と宣言。 これが発端となりネットで広まり、前述した 「放送時期ごとにもっとも売れた新アニメ作品」 に対し、一般でも広く使われるようになったようです。

 ちなみにくだんの作品 「俺妹」 は放映後多くのファンから支持され、ゆま氏の宣言通り 2010年 秋 (10月〜12月) 期の覇権アニメとして高い売り上げと絶大な人気を獲得しています。

「覇権」 その信憑性は…?

 具体的・客観的な数値で示されることが多いことから正確だと思われがちな 「覇権」 の定義ですが、これはあくまで外部に発表される数値が正確であることが前提となっています。 しかし円盤の売り上げ枚数などはある程度操作が可能な場合もあります。

 オリコンなどのレコード時代から売り上げランキングを発表している媒体の場合、音楽業界なども仕組みを熟知した上で最も数字が良くなるタイミングを見計らって集計が行われるよう手回しするなど、様々なノウハウの存在が確認されています。 例えば特定の大手レコード・CD ショップチェーンの販売枚数の集計日から逆算して特定のランキング期間 (例えば販売初週など) の集計締め切り直前に数値のピークが来るよう出荷を調整したり、出荷前に一部を自社買いして売り上げを計上してしまうなどです。 これらは書籍や雑誌類の売り上げランキング、映画などの興行収入などでもよく見られた方法で、数値自体の捏造ではありませんが、かなりグレーゾーンの対策でしょう。

 ファンに対し複数買いを強要するような手法もあります。 同一内容の商品のバージョン違い・ジャケット違いを複数販売する、握手券やブロマイド、コンサート・ライブなどイベント類のチケット抽選券や何らかのグッズ類のシリアルコードなどをランダムに封入するなどです。 このような方法で上積み・水増しされた作品では、仮にランキング上位を賑わせたとしても、円盤の販売数=ファンの数とは言えなくなるでしょう。 もっとも音楽CD などと違い DVD や BD は一枚当たりの価格も高いため、ファンの側でもなかなか体力勝負の買い支えは難しいでしょうから、極端な ゴリ押し による人気の捏造は少ないかもしれません。

 一方、ゲーム、とくにダウンロード販売やオンラインゲームなどの場合、ダウンロード数はプラットフォームのランキングである程度は把握できても、売り上げ数や課金額などは外から知る手段はかなり限られ、大雑把な予想の範囲を出ない場合もあります。 ゲームのセルランなどを発表しているサイトの情報などは、おおむね当たらずとも遠からずの数値が出ていると思いますが (筆者 が数値を把握していたタイトルのセルランはわりと当たってました)、あまり鵜呑みにするのは危険でしょう (発表しているサイトでも、あくまで目安ですとの説明をきちんとしている場合が多いものです)。

 このほか、コンテンツ企業が上場していれば決算報告書やIR関連資料を見ることでおおよその規模感を把握することもできます。 この場合、自社IPかそうでないか、数値がグロス計上 (販売の総額表示) かネット計上 (仕入れ値などを引いた販売の利益) かによっても数値が変わりますが、複数コンテンツが同時にいくつも走っている企業だと自主的な数値発表がされない限り、あくまで予想の範囲に留まって正確な数値もわからないでしょう。

 結局のところ、ファンは景気の良い数値をありがたがり、アンチはその数値のあら捜しをしたり低い数値に注目したりで、どっちもどっちだったりもするのでしょう。 人気がある=続編が作られる可能性が高まる、ゲームならサービス終了 (サ終) が遠のくことでもあるので、単に他作品ファンに対する マウント意識 だけでなく、純粋で切実なファン心理の反映がそこにあるのでしょう。

「覇権」 を当てこすり、揶揄・嫌味の意味で使うことも

 なお 「覇権」 には全く逆の使い方もあります。 人気がなく売り上げもさっぱりな作品、とくに不人気で過疎っているようなゲームを、ことさらに 「覇権だ覇権だ」 と連呼して侮蔑するような、揶揄・嫌味の使い方です。

 こうした使い方でよく知られる作品は、DMM.R18 (FANZAGAMES) で2015年4月21日からサービスを開始したアダルト RPG ブラウザゲーム 「ひつじ×クロニクル Valkyrie our miniature garden」 でしょう。 βテストもなくいきなり始まったもののバグが多く、一定の支持は得たものの1年弱の 2016年3月31日にはサービスを終了した作品ですが、クエスト 「力の証明」 の課題タイトル中に覇権という文字もあったりして (円卓の覇権)、それが影響したのかしないのか、度々揶揄としての覇権扱いがされていました。

 ゲームはランキングである程度の人気不人気がリアルタイムで分かってしまいますし、バグや不都合などがあると ネガティブ な話題も出がちです。 熱心なファンが半分本気で覇権取れるかもなどと煽ることもあり、その裏返しとしてパッとしない作品やランキングが下落した作品をあえて覇権扱いしてくさすような使い方も一部では定着しています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年7月8日)
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