アニメと同じ日常がある…日本を特別に感じてくれる 「日本エフェクト」
「日本エフェクト」(Japanese Effect/ Japan Effect) とは、ごくありふれた 普通 の風景写真や 動画 でも、「日本で撮影した」「日本の風景」 という説明や文字を加えるだけで、なぜか キラキラ と魅力的で美しく感じられてしまうという海外の若者の間の流行・ネットミーム のことです。 日本風に見えるような画処理を指すこともあります (後述します)。
TikTok を中心に SNS などで流行しており、日本の マンガ や アニメ、ゲーム などの文化、あるいはその影響を強く受けた日本風の 二次元 コンテンツ (ACG) や日本食・日本旅行が人気となる中、2025年あたりから大きく盛り上がっているようです。 なお日本エフェクトの前には、写真をアニメ風の爽やかで透明感のある色彩に加工すること (日本でいう 思春期エフェクト) を同じ日本エフェクトや日本フィルター (Japanese Filter) と呼んで一部で流行っていたこともあります。 日本風の ファッション や コスプレ をして 投稿 したり、動画の BGM に J-POP や日本の アニソン を使うなども人気があり、日本エフェクトはこれら一連のムーブのひとつといってよいでしょう。
代表的な パターン は、街中や郊外を写した 画像 や動画を投稿する際に 「JAPAN」 といった文字を コメント として 書き込ん だり タグ をつける、日本の国旗や日本を感じさせる絵文字 (🌸 や 🗻 など) をつけるなどです。 写真を2枚かそれ以上並べ、それぞれに国名をつけて対比させるようなパターンもあります。 似たような、あるいは同じ風景の写真だけれど、一方には日本、もう一方には別の国名 (投稿者が住む自分の国や、国際的に悪いイメージがある国名の場合が多い) をつけ、「日本をつけるとこんなに素敵に見えるのに、自国名をつけると色褪せて見える」 みたいな 自虐的 な冗談として行われます。
これは単に 「隣の芝は青く見える」 なのでしょうし、私たち日本人だって日本人好みの外国、とくに神秘的でロマンティックに感じられる北欧やヨーロッパの国名がつけられると、平凡な風景であっても何やらそちらの方がより素敵に見えて 「行ってみたいなよその国」 という気持ちが湧き上がってくるのと同じ心理なのでしょう。 粗が見える身近なものより 画面 越しに見る遠い外国の方が素敵に感じられがちですし、輸入品・舶来ものがやたら高級で良いものに見えたり、海外を旅するようなテレビ番組などに食い入るように見入った経験は多くの人が持つものでもあります。
一方、日本でよく見かけるものに、外国の未開・辺境の地のような写真に群馬とか埼玉とか鳥取といった 地味 で田舎っぽく感じられる地名をつけて冷やかす 文字コラ があります。 こちらも似たようなものは海外でもしばしば見かけますが、国内の地域いじりや 地域蔑視・蔑称 の感覚もどこの国にもあるものなのでしょう。 いずれも頭の中のイメージや思い込みで憧れたり面白がったりするだけの ネタ やある種のお遊び、大喜利 でもあり、「日本エフェクト」 という 概念 を見て 脊髄反射 のように 「日本スゴイ」 と舞い上がる必要はないでしょう。
とはいえ、日本人は外国の反応や目を気にしがちという意見もありますから、良いイメージで見てくれることにはちょっとした喜びやそう思ってくれる相手への感謝は感じられるかも知れません。 かつては一部の 出羽守 が主張する 「日本は遅れている」「魅力に乏しく存在感のない小さな島国」「日本は世界から嫌われている」 みたいな意見が大手をふるっていた時代もありましたが、今では SNS を通じて気軽に 越境 して海外の人たちの声を身近に感じられるようになっています。
とくにアニメやゲームは 昭和 の時代から海外で人気を得ていたにも関わらず、出羽守の 「他国と比べて日本は幼稚だ」「犯罪を助長する」「性表現が時代遅れで日本が誤解される」 という根拠不明の批判や罵倒の矢面に立たされがちな存在だったため、むしろ日本のイメージを向上させていることが視覚的にも明白になる動きには、ちょっとした留飲が下がる思いをする おたく な人も少なくないでしょう。
「Made in Japan」 と日本ブランド
日本の良いイメージというと、家電や自動車といった輸出工業製品が 「Made in Japan」 をうたうと、先進的で高品質な商品だと思われるという現象が昔からあります。 この評価も 戦前・戦中あたりまでは安かろう悪かろうの代名詞みたいなイメージが欧米先進国であったようですが、戦後はその評価も一変。 とくに1980年代後半あたりまでの日本経済が好調な時代は、「日本製なら良いものに決まっている」 とのありがたい評価を国際的に得ていました。
真面目なモノづくり、高い品質管理による日本ブランドの信頼性の結果であり、そのイメージを利用して日本以外の国で生産された商品に虚偽の日本製表示をしたり、日本の ブランド のように見せかけた偽商品や、日本風の名前をつけたものなどは今も大量に世の中に出回っています。 それを揶揄して日本と他国を比較する画像 (一方に Made in Japan、もう一方に粗悪品や偽商品を輸出するイメージがある国の名を並べる) も国内外にそれ以前から存在します。
現在の日本は自動車以外の工業製品があまりパッとしなくなってしまいましたが、日本エフェクトはこれの文化版といってよい広がりを持つものでしょう。
マンガ・アニメ・ゲームによって 「顔の見えない日本」 も払拭?
日本エフェクトが2020年代に入ってしばらくして広がった理由としては、日本アニメの世界的な大ヒットの影響がとくに大きいでしょう。 これは2020年の新型コロナウイルスの世界的流行から 不要不急 の外出や外出時の 密 を避けるために自宅のテレビや ネット で コンテンツ を観て過ごす 「巣ごもり需」 が世界的に広がったこと、同時期にアメリカ・ハリウッドの映画産業で大規模なストライキが生じて大作映画の制作が滞ったこともあり、前後して日本アニメが世界中で注目を集めるタイミングだった点があります。 海外の若者の間では日本アニメでよく描かれる日本の中学や高校といった 学校 に関する描写がしばしば話題となっており、それらが SNS や 動画サイト で相乗した部分もあります。
さらに Netflix などで日本マンガを原作として日本を 舞台 に制作された実写ドラマにヒットが続いたこと、日本発の文化である 初音ミク 楽曲や1980年代のシティーポップの人気、Vtuber の世界的な盛り上がりもあります。 いずれも日本のおたく文化とは密接な関係があり、日本語がその分野の 公用語 として扱われるなど、日本の存在がかつてないほど高まっているという状況がありました。 経済的にはいまひとつパッとしない日本ですが、こと文化に関しては歴史上でも空前といって良い 環境 にあり、かつてよく云われた 「顔の見えない日本人」(何を考えているかわからない) とか、経済は一流だが文化は二流だ (ついでに政治は三流だ) みたいな ネガティブ な意見もあまり耳にしなくなりました。
円安と日本のインバウンド 需要 拡大のための観光客誘致施策により、空前の日本旅行ブームが広がっている点も見逃せません。 日本文化に親しみを覚える若い層が、TikTok や instagram に投稿される日本旅行の様子を見て 「アニメで描かれているような場所が本当にあるんだ」「日本の若者はアニメみたいな 青春 を本当に送っているんだ」 との憧れを抱いてくれている影響は小さくないでしょう (まぁアニメみたいな青春を送ることができる若者は日本でも少数で大半は 青春コンプ を拗らせているような気もしますが w)。
ただまぁ、お揃いの 体操着 を着て部活をしたり、放課後 に 制服 のまま徒歩で家に帰るとか、下校途中でコンビニやファーストフード、ショッピングモールに寄り道して友達と買い物したりお茶を飲んだりといった日本なら当たり前のことができない国の方が圧倒的に多いので、それが現実に存在するのなら見てみたいという気持ちはわかります。
廃校となった学校校舎を利用した訪日外国人向けの 「日本の高校生の一日体験ツアー」 なども人気を得ていますし、日本に好意を持って訪れてくれる人たちに対する草の根の 交流 と、彼らが好きでいてくれる 治安 が良くて人々が親切な日本らしい美しさは私たちも大切にして守っていきたいですね。
なお イラスト などで用いられる、いかにも青春! あるいは思春期! みたいなキラキラしたエフェクトのことを思春期エフェクト、青春時代にありがちな エモ い シチュエーション を描いたイラストは 青春絵 みたいに呼ぶこともあります。





