かわいくて機能的で、制服用スカートにはつきもの 「プリーツ」
「プリーツ」(pleats) とは、洋服の布生地を折りたたんで強い折り目をつけ、直線的なひだをつける立体的な装飾技法のことです。 現在はもっぱら女性用の スカート に用いられることが多く、その場合は プリーツスカートとかひだスカート と呼びます。
プリーツは折り目の形状や入れ方でいくつかの種類に分かれます。 一般的にスカートのプリーツ (ひだ) でイメージされる形状は ワンウェイプリーツ (車ひだ) と呼ばれます。 ひだの形は上から見ると一方向 (反時計回り・左巻き/ 正面から見ると山が右にくる) で山折り谷折りを等間隔で繰り返すギザギザ状であり、おおむね衣服の上から下までつながった形で直線に並びます。 その形状から片返しひだとも呼びます。 プリーツの数はデザイン次第ですが、制服 に用いられる場合はひだの数が 24本から4本刻みで36本あたりまでが多いでしょう。
車ひだ以外の代表的なものとして ボックスプリーツ (箱ひだ) があります。 これは折ひだを正面から見て山折り・谷折りの左右対称を一対として、上から見ると箱型になるようにしたものです。 他と比べて少ないプリーツ数が選ばれることが多く、例えば制服の ジャンスカ などにありがちなボックスプリーツの場合は、正面から見て前後の左右に一対ずつの計4つから8つくらいの折り込みがあるように見えることが多いでしょう。
この他、山折り谷折りが歯車のように等間隔で、かつ車ひだのように一方向に向いてないものはアコーディオンプリーツと呼びます。 楽器のアコーディオンについている蛇腹のような形です。 またプリーツのように山や谷の部分にかっちりした折り目がつかずふんわりしたものは フリル と呼びます。 プリーツが規則的に並ばず、不規則に細かくつけたものはギャザーと呼びます。 こちらはより動きやすく、また柔らかく女性的でカジュアルな印象となります。
プリーツのついたスカートは立体的で見た目に美しいだけでなく、ひだの伸び縮みにより動きやすく、足に密着することもなくて足さばきが楽になる利点があります。 一方でプリーツのないもの、とくに身体にフィットする タイトスカート などに比べると、やや子供っぽく若々しい印象になりがちかも知れません。 とはいえこのあたりは、全体のデザインや時代ごとの変化もありますから、一概には云えません。
アレンジバージョンのナイフプリーツやインバーテッドプリーツなども
その他細かい分類で、ワンウェイプリーツの山折り部分がより鋭く尖るような、山折り谷折り部分の長さ (落差) があるものをナイフプリーツ、ボックスプリーツの折り方が逆 (反転) したものを インバーテッドプリーツ、切れ込みのスリットのように1つだけ奥行きのある折ひだをつけるものをキックプリーツ、キックプリーツのように切れ込みに三角形の軽くプリーツのついたパーツ (ゴデ) が折り込み部分に縫い付けられたものをゴデスカートやステッチスカート (チアリーディングなどで異なる 色 の生地を使ったちょっと派手なスカート、ボックスプリーツのように見える) と呼ぶこともあります。
ただこのあたりはひだの数やその間隔によってはほとんど同じように見えることもありますし、スリットっぽく見える切れ込み状のものはプリーツではなくステッチの扱いがされることもありますし、ほとんど同じような見た目の折り目をボックスプリーツで処理している場合もあります。 スカートの前部のみプリーツとか、異なるプリーツを組み合わせたもの (例えば前ひだとか前箱ひだと呼ばれる、前後に箱ひだ、左右に車ひだのものとか) もあります。 またチアリーディング用のスカートは一般的にはチアスカートみたいに呼んで区別するので、同じ言葉でくくられないことも多いでしょう。
いずれにせよひだや折り目があれば全体をあらわすプリーツスカートという言葉でも間違いではありませんし、厳密な定義に基づく種別をパッと見で理解したり イラスト に起こすのは難しそうです。 ネット などでスカート姿のイラストが 投稿 されると、「実際のスカートのプリーツはこうなってない」 みたいな意見が出ることもありますが、見栄えを考えて意図的に変えている場合もあれば、単なる勘違いや間違いによるものもあるのでしょう。 これは間違いだと思ったら、自分の方が間違えていることもあります。
実在制服 のように元となる実物が存在するなら 「これが正解」 みたいな意見も成り立つのでしょうが、架空の制服の場合は判断が難しいこともよくあります。 まぁ明らかに立体化ができないような謎の構造の服 (謎服) が、当たり前にあったりするのも面白いところです。
似たものに 「タック」 や 「ダーツ」 も
プリーツに似たものにタックがあります。 こちらもプリーツと同様に布地にひだをつける技法ですが、折りたたむだけでなくひだの形で一部を縫い付けており、またひだが途中で途切れるタイプによく用いられます。 一部のスカートなどの他、男性用のズボン (スラックス) にも用いられることが多く、左右にひとつずつのものをシングルタック、2つならツータックと呼んだりします。 なおひだの全てを縫い付けるものはダーツと呼びます。
イラスト などでは柔らかい印象にするためプリーツをあえてフリルみたいに描くこともありますし、時代時代の 絵描き の流行もあって、創作物のスカートの形状は様々です。 なおこうした折り目やフリルで立体的な飾られ方をしたスカートは、ぺプラムスカートと呼ぶこともあります。 ただし一般的にぺプラムスカートと云えば、長短2つのスカートを組み合わせたような形状を指すことがほとんどです。
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