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ストッキング

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パンストタイプが人気、脚を美しく整える 「ストッキング」

 「ストッキング」(stockings) とは、主に女性が脚に着用するナイロンやポリウレタン製の薄手・半透明のレッグウェア・長靴下のことです。 伸縮性に優れて脚にぴったりと密着し、脚肌の毛穴やシミ、シワ、薄い体毛などをカバーして滑らかに整え、すらりと引き締まったように見せる美脚効果があります。 ビジネスやフォーマルな場で広く用いられます。

 形状的には両脚部分が股下でつながって腰全体を覆うものが多く、これはパンティ (パンツ)+ストッキングで パンティストッキング (パンスト) と呼びます。 アメリカでそれ以前から存在したガードルの代用品として開発・販売され、1960年代中には新しい女性用レッグウェアとして圧倒的な地位を占めました。 その後日本でも普及し、現在日本でストッキングと云えば実質的にパンストを指して使うことが多いでしょう。

人類の脚を支えてきたストッキングや靴下

 ストッキングの原型となるのは古代エジプトの 靴下 を経て古代ローマ時代に用いられた udo と呼ばれるレッグウェアで、とくにローマ兵が 戦闘 で用いる 長靴 の丈に合わせて長くなったものとされ、同時代には女性用のものも作られていたようです。 基本的には下半身を保護する 下着 であり、類似のものは日本を始め世界中に古くから見られます。

 日本においてはストッキングや タイツ といった脚を覆うようなレッグウェアが登場したのはかなり後で、伝統的な製糸に加え、明治時代に殖産興業の掛け声の中、製糸や紡績の機械化や大規模化が推進され、大正時代の初期に絹 (シルク/ 生糸) 製の長靴下として作られるようなっています。 絹は鋼のように強くクモの巣のようにきめ細やかと評されるほど頑丈で軽量なため、動きの激しい脚にまとうストッキングは、その肌触りのよさもあってうってつけのものでした。

 その多くは輸出に回され、一時期はアメリカを中心に欧米先進国で大きな シェア を獲得するに至っています。 日本は明治から 昭和 初期まで世界最大の生糸輸出国であり、養蚕業は国を支える重要産業と位置づけられていました。 今ではすっかり減りましたが、昭和の時代は比較的遅くまで東京でもそこら中に蚕のエサとなる桑の畑が作られていて、地図記号にわざわざ他の畑と区別する桑畑のものがあったり (2013年の改定で廃止)、桑につく比較的大型のクワカミキリが子供たちの遊び相手になったりしていました。

ナイロンの登場で安価なストッキングの大量生産時代が始まる

 現在のようにストッキングが一般にも広く用いられるようになった大きなきっかけは、1935年にアメリカのデュポン社が絹ストッキングの代用品の素材として 開発 した世界初の合成繊維 (人工絹)、ナイロンの登場とその普及でしょう。

 ナイロンは絹同様になめらかな肌触りと十分な強度、耐摩耗性、弾力性を持ち、安価に大量生産が可能な夢の繊維として注目を集め、1940年には世界初のナイロン製ストッキングが同社によって販売されて大人気となります。 このナイロンの登場は日本の主要輸出品であった生糸産業に壊滅的な打撃を与え景気を悪化させると共に、従来の天然繊維中心の日本の製糸・紡績業を化学繊維中心へと構造転換するきっかけとなりました。

 日本でも1939年にナイロンとは異なる方法での合成繊維の開発が行われていましたが、その後はアメリカのそれを参考に日本の大手企業なども開発と生産のための準備を開始。 1941年に東洋レーヨン (現:東レ) が独自開発したのをはじめ、1952年に厚木編織 (現:アツギ) がタイツとともにシームレスストッキングの製造販売に着手 (本格的な生産・販売は1961年)、伝線しにくい (ノンラン設計) で知られる福助も1950年代から生産を開始しています。 また郡是製絲 (現:グンゼ) も東洋レーヨンとの共同開発でフルファッション靴下の製造に進出し、同じ1950年代からニットを使ったものも合わせ生産を開始、普及期である1968年に発売したシアペーヌは大ヒットしました。

 なお前述したアツギ (ATSUGI)、福助 (fukuske)、グンゼ (GUNZE) は3大メーカーとして日本での洋装の広がりと共に足元を包むストッキングの普及と技術的な進化を牽引してきました。 とくに1960年代末から1970年代に世界はもちろん日本でも大ブームを起こした ミニスカート の登場と流行は、それに拍車をかけるものでした。

 以降は女性の外出時のマナーのような扱いとなり、女性の社会進出が進む中、販売のピークとなった1980年代後半にはタイツと合わせ年間10億足が国内供給されています。 しかしその後は人口減も手伝って徐々に減少し、不要不急 の外出や を避ける生活が叫ばれた新型コロナ禍によるアパレル業界全体の深刻な不況 (2020年〜) を経た2024年には、年間1億3,300万足程度にまで落ち込んでいます。

「パンスト」 の他にも色々あるストッキング

 日本でストッキングと云うともっぱらパンストを指して使うことが多いのですが、その他にも様々な種類があります。 左右が別れて太ももまでのストッキングを ガーター ストッキング (オーバーニー やホールドアップまたはステイアップソックスっぽいもの、サイハイ丈全般)、その他、膝下丈のものはショート丈ストッキング (膝下ストッキング/ ニーハイ) と呼ばれ、一般の靴下に準じて長さごとに様々なタイプが作られています。

 このうちガーターストッキングの場合は、ずり下がりを防ぐためのガーターベルトを別途用います。 ガードルとガーターは一部が似たような形をしていますが、ガードルは身体を補正 (補整) するためのもの (ファウンデーション)、ガーターは主に装飾やずり下がり防止のためのもので構造も目的も異なります。 これらは スカート の下に隠れて見えませんが、あえて見えるように穿きこなすこともあります。 ガーターベルトではなくサスペンダーを用いるタイプもありますが、あまり一般的ではないでしょう。

 また一般のパンストはパンティ部分と脚 (レッグ部分) とつま先部分の間に切り返しがありますが、つま先部分の切り替えがないスルーやヌードトゥ、パンティ部からつま先まで一切切り返しのないオールスルータイプもあります。 使い分けは好みやその時の服装次第ですが、切り替えがあるものはその部分に補強も入れられ、耐久性やヒップアップ効果を持つ機能性に優れたものもあります。 また着圧で脚を細く見せるもの、紫外線カット機能を持つものなども販売され、季節ごとの商品 (例えばサマーストッキングとか) を発売したり、ブランド ごとに細かい分類の違いなどがあります。

 元々パンストは名称の通りパンツを穿かなくてもこれ1着のみで完結するものでしたが、パンツと合わせて着用することがほとんどでしょう。 それに合わせ、股間や腰の横などに大きな開口部がついてガードルのようなシルエットとなるパンティ部レスストッキング (股下オープン) なども登場しています。 熱がこもりやすいパンティ部がないため、夏場の蒸れを防ぎ 暑さ対策 になる他、生理中もサニタリー用品と合わせやすく快適に使えるものとなっています。

ストッキングと似ているけれど分類が変わるタイツ

 似たものにタイツがあります。 違いは素材となる編み糸の太さ (及び組成) です。 デニール (糸の重さ (太さ) の単位) によって表現され、一般的に25デニール (25D) 未満のものをストッキング、それ以上をタイツと呼んで区別します (25D 程度はシアータイツとし、区分を 30D とする場合もあります)。 太さと製法で区別するうどんとそうめんの違いみたいなものですね。

 一般に広く普及しよく使われるのは 20D 前後のもので、見た目と実用性を兼ね備えた標準的なストッキングとされます。 7D〜15D くらいのものは超薄などと呼ばれ、より透明感が高くよりフォーマルな場で使われます。 30D は厚手のストッキングか薄手のタイツ扱いで、肌のカバー力が高いものとなります。 メーカーや地域によってはそれ以上のものもストッキングとして分類されることもあります。

 ちなみに1デニールは 9,000メートルで1グラムの重さであり、25デニールはその25倍です。 生地の厚みは繊維の密度 (比重) や構造によって異なりますが、25デニールでは約 0.03mm〜0.05mm (30〜50μm) 程度となります。 分類上ストッキングやタイツは靴下ではありますが、タイツはズボンなどと同等の ボトムス のひとつとする考え方もあります。 近年ではタイツの一種であるレギンスなどを、厚手の素材のものであればそのまま アウター のボトムスとして着用する人も増えてきました。

 ストッキングは糸が細く生地が薄いほど透明感が増し自然な感じになりますが、そのぶん耐久性も落ち、穿き脱ぎや着用時の異物接触によるほつれやほころび (伝線)、破れが生じやすくなります。 他の下着などと同様に 消耗品 のようなものだとはいえ、そう安いものでもないので、下ろしたての新しいストッキングが、それも慌ただしい朝や出先で伝線すると気分も暗くなります。

 伝線しないパンストは女性の多くが望むものでしょうが、技術の進歩によって昔に比べて伝線しにくくなったとはいえ、ミクロン単位の細い糸で作られたストッキング地はどうしても強い引っ張りや引っ掛かりに弱くなります。 サイズが合わなくなったり乾燥したかかとや爪が引っかかったり洗濯で傷めたりがよくあるケースですが、その他にも着用時に アクセサリー や手持ちのバッグ、 の金具が触れるとか、ペットを飼っているなら猫にゃんのじゃれつきなどなど、注意していてもつい原因を作ってしまいがちです。 たまに糸を太くすれば伝線や破れが一層しにくくなるみたいな意見もでますが、太くするとタイツになるだけなのであまり意味もありません。

  については健康的な素肌感で脚が美しく映え、着用時の肌なじみも良いベージュ系でピンクがかった明るい 肌色 が多いでしょう。 無難ですしオールラウンドに使える 定番 でもあります。 地肌と同じか1トーン暗めを選ぶと違和感もありません。 着用者の肌色との相性の他、用途によっても選び方が変わってきます。 フォーマルな場では引き締まって見える黒やそれに近い暗い色がよく選ばれますし、カジュアルな場や華やかな場ではラメやビジューが入っていたり、タイツに近いものでカラフルな色や が入ったものもあります。 質感はツヤのない落ち着いたマット地から光沢のあるものまで選べます。

脚フェチに支持されるガーターや網タイツ

 ストッキングやタイツで特に象徴的なのは、華美なガーターベルトがついたものや、バニーガール でおなじみの網目 模様 が入った 網タイツ (タイツと呼びながらほぼストッキングのようなものが多い) でしょう。 いずれも強い フェチ の対象とされます。 逆にストッキングやタイツを履いていない状態は 生足 (生脚) と呼びます。 一般に靴下を履いていても生足扱いになりますが、靴下も履かない状態は素足と呼ぶのが自然でしょう。

 ストッキングが日本で広く普及・流行し必需品となったのは 1950年代のおしゃれな下着ブーム、1960年〜1970年代のミニスカートが流行した頃と重なりますが、それから ロングスカート が流行し、販売数は伸びながらもあまり外からは目立たない存在となります。 1980年代後半から1990年代にかけて再びミニスカブームが生じた際は生足ブームが合わせて到来しています。

 以降はミニスカートがブームではなく完全に定着しますが、一方で女性の スラックス 着用や ジャージ、スウェットなど脚が見えない 長ズボン・パンツスタイルも広がり、ストッキングやタイツ着用にかつてのような女の子らしさや社会的なドレスコード・マナー的価値観などを感じる女性も、若者を中心にかなり減っています。

 靴を含めた足元の ファッション は時代とともに変化しますが、変化が生じるごとに脚フェチ (足フェチ) も バリエーション を増加させています。 また創作物の世界では、伝線したり破けたパンストに着用した女性のだらしなさや不潔感、あるいは 凌辱痴漢 といった無理矢理な性行為や性犯罪を連想して 萌える ような人もいます。 古風で艶めかしく肉感的なガーターや網タイツは SM やボンテージファッションとの相性も良く、その ジャンルマンガアニメゲーム でよく用いられます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2003年2月12日)
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