同人用語の基礎知識

遊び紙

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あってもなくても良いものなれど…凝ると素敵な本にもなる 「遊び紙」

 「遊び紙」 とは、表紙と本文 (巻頭と巻末の見返し位置 (表2・表3) と内表紙の両方、もしくは巻頭のみ) との間に入れる、何も印刷しない紙のことです。 通常はページ数に含めず、また表紙とも本文とも違った質の紙を挟むようになっています。

 書籍としての体裁を整え見栄えを良くするためのもので、マンガの単行本や文庫本、雑誌と書籍の中間のようなムックなどでは省略されるケースが多いのですが、商業出版、自費出版問わず、多くの一般的な書籍類で見かけることができます。 言葉としては、製本工程における装丁の一種の扱いとなります。

薄手の紙か、厚手のトレーシングペーパーなどが多いですね

 「遊び紙」 に使う紙質は基本的に何でも良いのですが、一般的には半透明のトレーシングペーパーのうち、厚手のトレーシングペーパー (ダブルトレーシングなど) や、強度のあるグラシン紙 (パラフィン紙)、製図用として使われるハトロン紙や、ドリープ紙、カラフルなクラフト紙などが使われるケースが多く、またしばしば、薄い色がついていたり、ちょっとした模様がついていたりもします。 これらにはそれぞれに特徴がありますが、飾り、装飾のようなものなので、好きなものを選ぶと良いでしょう。

 なお印刷屋さんなどに 「同人誌」 の印刷と製本を頼むと、「遊び紙」 はその印刷屋さんや製本装丁屋さんが一般的に使っている紙を、基本料金内でサービスで入れてくれる場合が多いようです。 特殊な紙で 「遊び紙」 を入れたい、あるいは自分で探してきた特殊な紙を 「遊び紙」 として入れて欲しいと頼む場合は、別途 「差込」 のための費用がかかります。 なお、簡単な図案などを印刷するケースもあり、その場合にも別途印刷代金がかかります。

表紙や遊び紙に凝った同人誌は、所有する喜びすら

 この 「遊び紙」、印刷屋さんに頼んだ 「オフセット同人誌」 などではたいてい入っていて、その本を作った 「同人サークル」 の作家さんや、あるいはそれを買った読者も、ほとんど意識しないケースも多いようです。 その本に描かれているイラストやマンガ、小説などの 「本文」 こそが重要で、本やその装丁、すなわち 「入れ物」 などどうでも良い…なんて考える人も多いようです (そのわりに、折り目とかには神経質w)。

 この傾向は男性同人ファンに強く、まぁ 「18禁」 のエロ同人誌なんかは実用品としての 「おかず」 扱いなんでしょうから、あまり外見を気にしても仕方ないのかな…なんて気もします。

 一方で、女性サークルや女性同人ファンは、こうした装丁には驚くほどの熱意や神経の使い方をするケースが多いですね。 遊び紙をわざわざ別料金を掛けて凝ったものにしたり、遊び紙に印刷した薄い模様が、本文の内表紙のイラストと重なって立体感のあるイラストになっていたり、表紙を型抜きして (例えば表紙にハート型の窓が開いている)、遊び紙がカーテン、内表紙にキャラのイラストとか、手に取っただけでワクワクしてくるような重厚で作りこんだものがかなりあります。

 いわゆる 「同人バブル」 と呼ばれた 1980年代末から 1990年代中ごろまでの時期は、ほとんど美術書かと思うような超弩級の凝った装丁の同人誌なども登場し、人気のある 「大手サークル」 同士が、互いに 「豪華さを競う」 ようなおもむきの同人誌を出しているケースもありました。

 筆者もこの頃の同人誌を何冊か持っていますが、いかにも高そうな高級紙にイラストを型押しした 「遊び紙」 が入っている上に、分厚いハードカバーの表紙だの、全ページフルカラー印刷だの、まだまだ印刷屋さんの同人誌の商業印刷が安くない時代に、どれだけのコストをかけて作ったんだろうか…なんて思うようなすごい本がかなりあったものです (その分、販価も高かったですが…)。

コピー誌の場合の 「遊び紙」 は…

 自分でコピーや印刷、製本までする 「コピー誌」 の場合、わざわざ 「遊び紙」 を入れる人は少ないようです。 ただしコピー誌の場合には、表紙用の紙が薄く (たいてい、本文と同じプリンタ用紙やコピー用紙)、表紙に本文が透けて出たりするので、ひと手間かけて、模造紙のようなクラフト紙を切って差し入れてる人も多いですね。

 また 「極限にまで凝るなら手作りの本こそ好都合」 とばかりに、逆にえらく凝った 「遊び紙」 を入れているケースもあります。 ここらは作家の趣味がモロにでてくるところですが、「本作りを楽しむ、本を作って遊ぶ」 という点では、その名の通り、「遊び紙」 はうってつけの素材なのかも知れませんね。

本つくりは、原稿を描くのと同じくらい、楽しいです

 なお筆者の知人のサークルでは、透明なビニール (PP/ ポリプロピレン) にタイトルとキャラクターを印刷し、遊び紙部分に背景を印刷した同人誌を発行しているところがありました。 まるでアニメを作るときの 「セル画」 のような体裁で、こういう本は手にすると嬉しくなってしまいますね。

 予算との兼ね合いもありますし、何冊も同人誌を出すと最初の頃の感動や興奮も薄れてくるものですが (イベントの搬入が間に合うか…なんて、スケジュール的なものばかり気になったりw)、「本を作る」 ってのは、趣味としてはかなりレベルが高い、素晴らしい趣味だと思います。 こだわり過ぎて悩んでも仕方がありませんが、納得のいく本作りをしたいものですね。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 1999年11月29日)
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