「文化」 と 「文化」 の交差点、発祥地点の衝突による独自の言葉文化圏
「同人用語」 とは、狭義の同人 (アニメやマンガ、ライトノベル、ゲームなど (いわゆるサブカル) を題材とした二次創作、あるいはオリジナルによる、マンガや動画、ノベル、ゲーム、音楽、グッズなどの創作活動) における参加者らのある程度共通して使われる言葉、同人の専門用語のことです。 「ドジーン用語」 などとも呼ばれます。
さらに狭めれば、「コミケ」 を中心とする 「同人誌即売会」 イベントにおいてのみ使われる、専門的な言葉となります。 源流をさかのぼれば、いわゆる 「文芸同人」 の世界の言葉から始まっている用語が根本のベースとなります。
印刷用語、地名人名 (から派生した言葉)、さらにおたく用語 萌え用語 ネットスラングなども
ただしこれら狭義の同人用語のみでは、実際に同人活動を始めた場合に、分からない言葉だらけになってしまうでしょう。 例えばマンガを描き、同人誌を作るとなると、絵画やイラストレーションの言葉、画材やストーリーを作るための方法論に使われる言葉や、さらに印刷物の知識、印刷のための用語も必要になります。さらに 「おたく用語」 や 「萌え用語」 としての、アニメやマンガの作品や登場キャラのセリフなどを由来とする言葉や、おたくと親和性の高いアイドルのための 「アイドル用語」、模型やフィギュアに関する専門用語、腐女子系・乙女系の隠語や 「やおい用語」、ゲームファンによる 「ゲーム用語」、「お笑い用語」、コスプレにおける 「服飾用語」、さらにエロ同人の場合の 「セクシャル用語」 もあります。
1980年代からは、「パソコン通信」 の時代が始まり、さらに 90年代からのインターネット、掲示板の時代となり、「ネット用語」「ネットスラング」、あるいは 「パソコン用語」「IT用語」 も無視できなくなっています。 これらは密接に絡み合い、互いに影響されながら日々新しい言葉や言い回し、あるいは過去の言葉の意味の変節、復活などもあり、部外者から見たら 「そもそも意味どころか、何の用語かも分からない」 などという状態になっています。
同人という世界では、様々な趣味を持つ人、それもかなりディープで濃い関わり方、のめりこみ方をしている人が互いに作品や情報を持ち寄り、それらは伝言ゲームのように他の世界に広がって行きます。 メインカルチャーや政治、経済、宗教、哲学、科学、歴史といったアカデミックな情報や用語も混ざり合い、大きな文化発生装置であると同時に、ある意味で 「巨大な言葉製造工場」 のような感じともなっています。
同属意識のための仲間用語、流行語なども混ざり合い…
また 「おたく」 や 「腐女子」 が、しばしば表向きは大声で喋れない、隠れてやるべき趣味…のようなイメージが昔は強く、隠語や仲間だけで通じる言葉としての 「言い換え」 もありますし、ネットの時代となって言葉の伝播が大きくなると、流行言葉としての需要と言葉としての更新サイクルの短縮も見られるようになりました。
要するに、もはや 「何が同人用語で、何がおたく用語、萌え用語、腐女子用語かの区別にあまり意味がない」 状態になっているのかと思われます。 とりわけ、「新しくこの世界に入る人」 にとって、この膨大な 「言葉の海」 は、ちょっと溺れてしまいそうな大きさがあります。
というわけで、現在は 「同人用語」 という言葉は、範囲が広がっていると見て良いのではないでしょうか。 まぁ名称は別に 「同人用語」 でなくとも良いとは思うんですが、筆者が同人イベントや、おたく系のネットコミュニティに参加して、「あらゆるものがごちゃまぜ」 で、しかもそれらが等価値で存在し、関わる人全てが刺激しあっている状況を見て大きな驚きと感動、インスピレーションを覚えましたので、やっぱり個々の専門用語と云うよりは、「同人」 という 「場」 の 「言葉」 なんだと強く思います。 そしてその 「空気」 は、やすやすと国境を越え、異なる文化を乗り越え、日本のサブカルが世界に羽ばたく大きな原動力、土壌となっていると思います。
同人用語は、ネットスラングと溶け合いながら、時代を映す鑑に
この 「同人用語の基礎知識」 では、同人イベント会場にいって人と会話をする時、あるいは同人やおたく、腐女子、萌え系の話を掲示板などで行う時に、最低限の意思の疎通が行え、さらにその際に使う言葉の 「奥行き」 を感じられるような言葉を 「同人用語」 もしくは 「同人的な人たちの言葉」 として定義し、まとめるようにしています。
ネットの普及とともに、一般的な意味の 「同人用語」 だけでは、もはや同じ趣味の人たちとの会話が成り立たない状況となっているからですが、この用語集が元々 「パソコン通信」 の集まりから始まり、同人もネットも、パソコンすら初心者って人を対象にしていたこともあり、ネットスラングなどの含有率がかなり高目になる傾向があります。 今後もネットの言葉を無視しては同人やおたく、腐女子の会話は成り立たないと考えられますので、必要に応じて流行り言葉などは拡充してゆくことになるかと思います。
ただしローカルな場に留まっている 「仲間言葉」 のようなものは、その場に参加するための 「パスポート」 のような意味がありますから、ここで部外者に事細かに説明して場を乱すようなことはしないつもりで運営しています。
もし少しでも同人に関わる人たちのお役に立てたら、これほど嬉しいことはありません。 と同時に、素晴らしい言葉を日々作りコミュニケーションを図っている同人やそれにかかわる人たちの造語力や才能に敬意を表します。 そりゃ世界を席巻するよw



