隠し撮りしたり勝手に撮影したり 「盗撮」
「盗撮」 とは、文字通り盗み撮りすること、隠し撮りすること、被写体となる人に許可を得たり分かるように撮影せず、無許可・無断で写真・ビデオ撮影することです。
とりわけこの世界で 「盗撮」 と云えば、もっぱら コスプレ を取り巻く人たちのうち、一部の不心得者が行う非常識な写真撮影の行為を指します。 同人イベント や、「ワンフェス」「宝島」 のような物販系イベント、「ゲームショー」 などの見本市イベント、あるいは コスパ のような大勢のコスプレ ファン、コスプレイヤー が集うイベントにカメラを持って集まり、本来の写真撮影 マナー (一声 「撮影して良いですか?」 とたずねて許可を得てから撮影する) を無視し、例えば望遠レンズなどで遠くの女性レイヤーなどをこっそりと撮影します。
声を掛け、きちんと許可を取っての撮影ならば、撮られる方もちゃんと意識して撮影に向かえますが、無許可の撮影ですと女の子なども気分的に無防備な状態での撮影となり、例えばしゃがんで化粧を直しているところを狙って股間の パンツ を撮影されてしまったりします。
また大規模イベントなどで個別に許可を得られない場合もあると云えばありますが (例えば1人のコスプレイヤーに、数十人のカメラマンが殺到し、囲み撮影状態になるなど)、その混乱に乗じてありえないローアングルから撮影をする ローアングラー なども、立派な盗撮といってよいでしょう。 あるいはコスプレ衣装の縫製の関係などで、例えば胸元が大きく見えてしまう (乳首が見えてしまうほどの) 角度などで、それと告げずに撮影する場合も、盗撮の一種と呼んで差し支えないと云えるでしょう。
なお一般に犯罪行為と認識される盗撮ですが、刑法に盗撮罪という罪があるわけではありません (その後 「撮影罪」 として新設され、2023年7月13日から施行されました)。 撮影した 画像 をいかがわしい形で ネット で公開する場合は名誉棄損に問われることもありますが、風呂場やトイレといった場所での行為ならともかく、「他人が通常衣服を着けないでいる場所」 に該当しない場所で行い、撮影内容も裸体や パンチラ など 「性的姿態等」 に当たらない範囲であれば、罪に問うのも難しいでしょう。 いわゆる肖像権の侵害も、芸能人などのように自分の姿を写真や映像として発表して対価を得ている人でなければ、財産権の侵害だとまでは認められることはないでしょう。
ただし、風景写真などを撮影して偶然写り込んだといったケースはともかく、特定個人を狙って撮影した場合、相手がそれを不快に思い、かつ撮影をやめるよう促したにも関わらずそれに従わず乱暴な態度で続けた場合は、痴漢 同様に迷惑防止条例違反として処罰されることになります。 時代を経るごとに厳しい目が注がれるようにもなっており、現在では個人が特定できる形での無断撮影は、状況によって犯罪や条例違反だと認識される可能性もあります。 もちろん裸体や下着が写っていたら、問答無用で犯罪です。
ちなみに 2001年に盗撮で逮捕されたタレントの名前をもじって、「盗撮」 のことを 「田代」「タシーロ」 などと呼ぶ場合もあります。 動詞化もしており、「田代する」 などと表現も、当時はよくされていました。
おたくなどとは無関係のアダルト業者、プロ、セミプロの存在も
一般的な意味での盗撮ブームも手伝い、そうした写真の掲載を行う写真誌への 投稿 などに使われたり、あるいはネット上で配布されたりします。 イベントによっては自衛手段として、望遠レンズや一眼レフカメラの持ち込み禁止、デジカメの禁止、使い切りカメラのみ持ち込み・撮影OKとしていたり、カメラマンの殺到による囲み撮影となった場合に、カウント (…3、2、1、はい、散って〜のように) でいったん解散させたりするケースもあります。
なお、更衣室に隠しカメラを設置したり、靴のつま先やかばんの中に小型カメラを仕込んで撮影したり、赤外線で 水着 を透かして裸体の一部を撮影するなどの、一般的な 「盗撮」 については、イベントの 主催者 の側もかなり警戒していてほとんど行われるケースなどありませんが、ここらあたりまで来ると、プロかセミプロの業者が絡んでいる、ほとんど同人とかコスプレとかおたくとかとは無関係な単なる性犯罪だと思います。 中には、そうした悪徳業者や不良カメラマンを 盗撮の盗撮 して、ネット上で 晒しもの にするケースなどもあります。 「おたくはやたら大きなカメラを持っている、あいつらみんな盗撮してるんだ」 なんて意見は見当違いも良いところですので、注意しましょう。
盗撮行為に走る人物が何を目的としているかは人それぞれでしょうが、他の性犯罪同様に性的欲求の他、対象に対する征服感があるのはよく指摘されるところです。 とくにおとなしくて 地味 で下着や裸体を見せることがなさそうな女性に対してのそれは、支配欲や加害感情を満足させるものでもあるのでしょう。 また他の性犯罪、例えば身体的な接触を伴う痴漢や性的いたずら、強姦といった 凌辱行為 に比べ、対象に対する加害感情が抱きにくく罪悪感を覚えにくいという特徴もあります。 一方で、盗撮した画像を脅しやゆすりに使ってより過激な性犯罪にエスカレートすることもあり、被害者は二重三重に苦しめられることになります。