同人用語の基礎知識

歴女

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歴史好きな女性だから 「歴女」、「戦国乙女」 などとも

 「歴女」 とは、歴史好きな女性のことです。

 狭義には中国の三国志の時代や日本の戦国時代、幕末の武将や侍、志士などで、歴史上の有名人、偉人や、その要素を持つ キャラ や作品が好きな 10代後半〜30代あたりまでの女性を指します。 「レキージョ」 あるいは武将を美少女化したデジパチ 「CR戦国乙女」 のタイトル名やその創作の ジャンル を示す 「戦国乙女」 を当てはめて呼ぶ場合もあります。

戦国無双
戦国無双/ コーエー
戦国BASARA
戦国BASARA/ カプコン

 「歴史もの」(あるいは時代小説や時代劇やその傾向を持つもの) といえば、とかく渋いイメージ、もっぱら男性 (というよりおじさん) が好むジャンルや作品傾向とのイメージが強いものです。

 しかし2000年代になり、ゲーム、「真・三國無双」(コーエー/ ωフォース/ 2000年8月3日) シリーズや 「戦国無双」(コーエー/ ωフォース/ 2004年2月11日) シリーズ、その影響を受けた 「戦国BASARA」(カプコン/ 2005年7月21日) シリーズが大ヒット。

 武将たちは極端に美化・イケメン 化し、アレンジもされたキャラ造形と、男性声優によるドラマチックなストーリー展開、キャラの魅力を全面に押し出した構成などにより、名だたる戦国武将の人気が女性 ファン の間で爆発。

「推して参る」「お館様ぁ」「幸村ぁ!」「お館様ぁ」「幸村ぁ!」

 とりわけ2009年に アニメ にもなり、高い視聴率を叩きだした人気作品、「戦国BASARA」 シリーズの主要登場人物 (伊達政宗や真田幸村など) は、単にゲームキャラとしての人気だけに留まりませんでした。

 歴史上ゆかりのある土地へファンらによる 聖地巡礼 が行われたり、武将をモチーフとしたアクセサリー (武将アクセ) が販売されるなど、一般ニュース扱いの大きな話題となっています。 男性ファンに比べ女性ファンはキャラクターへの思い入れが強いとも云われますし、家紋つきのキャラクターグッズ? なども、人気となっているようです。

 これらの作品に見られる歴史考証にとらわれず史実からもかけ離れたキャラ造形 (年齢など) には強い否定的意見もあるものの、人気と共に上記アクションゲームの枠を超え、携帯ゲームや男性ファンばかりの歴史SLG、さらにはドラマやその他の カテゴリ などにも大きな影響を与えているといって良いでしょう。

 ちなみに 「三国無双」 を 元ネタ とする ネットスラング に、自重無双状態 なんてのもあります。 また無双シリーズや戦国BASARAで得た知識、設定を史実とごっちゃにして語る人を侮蔑的に表す場合には、罵倒語である 厨房 を接尾して 「無双厨」「BASARA厨」 などと呼びます。

 「無双」 と 「BASARA」、どっちが史実により近いかという問いは全くナンセンスですが (どっちも歴史もの、時代ものと呼ぶに憚られるほどの荒唐無稽さです)、ファンに若年層が多く、キャラクター設定や造形により一層の飛躍が見られる 「BASARA」 の方が、史実からほど遠い作品内容だとは云えそうです。 そうした、ある種ヒステリー気味な極端な設定を面白く見ている旧来の歴史ファンなども、それなりにはいたりします。

「無双」「BASARA」 からブームが過熱

 言葉として 「歴女」 が使われだしたのは 「戦国BASARA」 のヒットあたりからで (もっぱらマスコミが主導)、それ以前までは、同人 やら 腐女子 の世界では、「歴史創作」「干し物・乾き物」(実在の人物による創作を ナマモノ とすることから転じたもの) などと呼ばれていました。 「文芸」「古典」 として扱われたり、コミケ では、歌舞伎などと同じカテゴリで扱われてもいましたね。

 また ネット掲示板 などでは、「三国志」 と 「戦国時代」 をあわせ、中世あたりまでの武将 ネタ 全般を 「三戦」(掲示板 2ちゃんねる の 「三国志・戦国板」(戦国英雄ネタ・三国志、戦国時代) に由来) などと呼んだりもします。

幕末、戦国が好きなファンはいましたが…

大好きな武将ゆかりの地を訪れるのも楽しいもの
大好きな武将ゆかりの地を訪れるのも楽しいもの

 もちろん歴史に興味のある女性は昔から結構いますし、山田風太郎や司馬遼太郎、吉川英治、山岡荘八らの歴史小説、時代小説には熱心な女性ファンが少なくありません。 また 「同人」 や 「腐女子」 の世界でも幕末動乱期の維新の志士や、とりわけ新撰組などはとても人気がありました。

 地味な戦国もののシミュレーションゲーム (SLG) に興じる女性もいましたし、戦国モノでも織田信長の小姓、森蘭丸(森成利) や豊臣政権の奉行、石田三成などは人気がありましたし、これら 「歴史のスタンダード」 を やおい のモチーフとして様々に カップリング したり、あるいは不条理ギャグとして扱うケースも多かったものです。

 戦国時代には 「衆道」(男色、いわゆる ホモ) がありましたが、「やおい」 とはいってもそれを直接モチーフとしていた訳ではなかったものの、「男が命をかけて名誉のために戦う」「義のために命を捧げる」 といった姿が、彼女らの 妄想 を掻き立てないわけがなく、コスプレ の世界でも新撰組隊士の羽織 (白いダンダラ模様が入った浅葱色の羽織) などは、かなり初期から見られた 「異性装」 の定番でした。

 しかし美少年だったと伝わる新撰組の沖田総司や森蘭丸あたりならともかく、多くの戦国武将や三国志の武将は 「おっさん」 で、アダコン っぽい作品や、ある種のパロディとして触れるケースは結構多かったものの、「歴女」 のように武将を 「アイドル」 かのように扱う雰囲気は、あまり見かけませんでした。 実際はどれだけおっさんでも、妄想で美青年や美少年に 脳内変換するパワーがありますが、「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」(和月伸宏/ 集英社/ 1994年〜1999年) や 「風光る」(渡辺多恵子/ 小学館/ 1997年〜) などの人気時代漫画やアニメの登場により、少しずつファン層が拡大していったのでしょう。

 なお魔法や神話などの ファンタジー の要素を入れやすい古代の歴史もの、伝奇もの (「宇宙皇子」 など) や、ヨーロッパなどの時代物語 (「白いトロイカ」 や 「ベルサイユのばら」 など)、さらにそれらの要素を持つ仮想歴史物語 (「銀河英雄伝説」 など) は1980年代に大きなブームとなっていて、1990年代以降は、これが中国やとりわけ日本の歴史ものにシフトした印象があります。

 単に 「時代がかった物語」 という共通点があるだけで、それぞれの作品には全く異なる要素もあるのですが、「西洋風がかっこいい」 から、「和風がかっこいい」 に世の中の関心がシフトしていたことと、無関係ではないでしょう。 1970年代から80年代にかけての、未来志向で設定から全てが架空の 「SFアニメ」 の大ブームの反動もありそうです。 ほぼ同じ時期、もしくはやや遅れて、和装 (浴衣や雪駄、草履類など) も、ファッションとして若者の間で人気が復権しています。

男性歴史・時代ものファンとの好み・視点の違い

お城巡りは、一昔前はおっさん趣味だったのに…
お城巡りは、一昔前はおっさん趣味だったのに…
名古屋おもてなし武将隊
天下人を多数輩出した名古屋では、開府400年の
記念事業PRに、イケメン揃いの 「名古屋おもてなし
武将隊」 も登場 (武将6人陣笠隊4人)

 若い女性向けを強く意識したNHK大河ドラマを俗に 「イケメン大河」「スイーツ大河」(若い女性を侮蔑的にあらわす スイーツ(笑) から転じたもの) などと呼びますが、「歴史モノ」「時代モノ」 を自分たちのものと強く認識する一部の男性歴史ファンからは、こうした 「歴女」 ブームは好ましく思われないケースもあるようです。

 歴史に興味が向く最初のきっかけとしてゲームがあるのは良いのですが、それ以前の多くの歴史ファンがそれを発端として自分なりに関連書籍や資料を調べ学習や知識の吸収を進めて行くのに対し、しばしば 「歴女」 は、きっかけであるゲームの世界のみに留まり、そこから一歩も出ないケースが少なくないのが 「偏っていて浅い」「ニワカだ」 と感じられるのでしょう。

 とりわけ、特定タイトルのゲームでのみ 「悪役」 とされた武将を、その知識だけで嫌う人などは (時としてそうした武将のファンを攻撃したりもする)、見ていて 痛い と感じられたり、時として不快だと思われたりもするようです。

若い女性が飛びつくことで業界も活性化?

 しかしその一方で、歴史モノがブームとなり、「商売になる」 時代となったことにより、多くの作品が作られ、男性女性の視点の違い、好みの違いを新鮮なものと捉え、それを楽しんでいる男性ファンも大勢います (女性側の視点に立って楽しむ 腐男子 なんて人もいます)。

 歴史好きはしばしば 「ウンチク自慢」「細部にこだわる」 人が多いので、「こんなことも知らずに新撰組を語るな」「ここを押さえないでどうして戦国が分かるのか本当に不思議」「考証がいい加減で萎える」 など、「新参」「ニワカ」 を叩く風潮もあります。 また派手な武将のみに着目し、史実を無視してそれを極端に美化することへの反発もあるようです。

 とはいえ男性向けと思われる作品でも、武将を 萌え の美少女化した格闘漫画 「一騎当千」(塩崎雄二/ ワニブックス/ 2000年〜) とか 「恋姫†無双 〜ドキッ☆乙女だらけの三国志演義〜」(2007年1月26日/ BaseSon) などもありますから、やっぱりこの時代の性別やファン層を超えた、ある種のブームなんでしょうね。

武将ゆかりの地への貢物?

大好きな武将ゆかりの地を訪れるのも楽しいもの
大好きな武将ゆかりの地を
訪れるのも楽しいもの

 いわゆる聖地巡礼、探訪はファンの気持ちとして理解できますし、実際にゆかりの地、歴史の舞台となった場所へ訪れるのはとても楽しいものです。 しかし中には、武将や歴史上の偉人の墓所などに、同人誌 などをお供えするなど、墓参りのマナーに反する行為を行う人も現れているようです。

 神社に イラスト を描いた絵馬などを奉納するのは、それを認めている神社に対してなら、何の問題もないでしょう。 こうした行為を全てマナー違反だ、常識を考えろと頭ごなしに批判する人もいますが、あくまでケースバイケースだと思います。

 しかしお墓に同人誌や 同人グッズ などをお供えするのはやや常識に欠ける行為だと思いますし、それを公式に認めているお寺はほとんどありません (全くないとは云いませんが)。

 同人の世界に色々なルールやマナーがあるように、同人の世界の外にも色々なルールやマナー、常識などがあります。 その武将なり歴史上の偉人なりが本当に好きであるのなら、本などは自分のカバンの中、もしくは心のなかに留めておいて、死者の御霊に敬意を払い、手を合わせるのが良いと思います。

 お墓参りなどをしたことがないという若い人も大勢いますし、それは本人が悪いわけではないので、常識やマナーがないのを必要以上に恥じる必要はありません。 年齢を重ねると自然と身につくことですし。 しかし武将のような存在には、様々な思いを持つ全く違った ジャンル の人たち、ファンだけでなく、子孫やその関係者の方なども大勢います。

 お墓を前にしてどのような礼儀作法が必要なのか、何をしたらダメなのか、自分以外の立場の人達の存在などもきちんと理解して 「聖地」 に赴くようにしたいですね。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2008年11月11日)
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