インターネットの時代になって一般にも広まり、言葉として定着したドリーム小説
「ドリーム小説」「夢小説」 とは、物語の登場人物として、自分 (その物語を書いた人、作者、もしくは読者) が登場する作品のことです。
略して 「ドリー夢」 や 「ドリ小」、あるいは JavaScript や 「CGI」 などで読者が登場人物 (しばしばヒロイン) の名前を自分の名前に変換して読むことから 「名前変換小説」、変換機能などがない時代には 「妄想」「架空対談」 などとも呼ばれていました。 またこうした作品を愛好する人を、俗に 「ドリーマー」 などと呼んだりします。
「SS」 と 「フリートーク」 そして 「ドリ小」
現在の形での 「ドリーム小説」 の原型としては、1998年頃のインターネットブームの際に、ネット上に作られた同人系の小説サイトでの 「SS」(ショートストーリー/ ShortStory/ 読みきりの短編作品) の名前変換機能つきのコンテンツに、そのルーツを見ることができます。
元々 「自分をヒロイン、あるいは主人公にする」 という作品は昔からありますが、よほどのことがない限り、わざわざ不特定多数に発表したり外に出す事はなく (同人誌などで発表する場合、作者の自虐的なごく短いシャレのような形の作品、「フリートーク」 の発展系のような読み物が多かったです)、「自分も書いているんだから、他にも書いている人がいるだろう」「やっぱり書いていたか」 なんて話が同人界隈で交わさせることはあっても、作品そのものが広く読まれるようなケースは稀でした (ただしそれなりには存在しましたw)。
当時はそれを、「妄想」 とか 「架空対談」 などとも呼んでいましたが (とりわけ架空対談は、マンガやアニメのキャラや、アーティストを相手にした擬似インタビューのような形でかなり初期の頃から存在してましたね…まぁ商業誌でも当たり前のようにやってる時代でしたし)、単なる恋愛話のような作品ですと、よほどのことがない限り、「他人」 が読んで面白いケースは稀で (まぁ自分がヒロインになれないのですから当然ですが)、ごくマイナーな存在でした。
それがインターネットの時代となり、文字変換などが比較的容易にブラウザ上で行えるようになり、「自分が主人公だけど、読む人もそれぞれが、この物語の主人公にもなれます」 のような形で広まったことにより、広く支持を受けて定着したようです。
パソコン通信の時代、「妄想」 が炸裂
こうした、短くて自分や読者が作品中に登場する同人的な作品は、「パソコン通信」 の時代に一定以上のファンを持っていたようです。 当時はオンラインでの名前の自動変換などありませんでしたが、パソ通時代は原則としてオンラインではなく、いったんダウンロードしてローカル環境での閲覧が基本でしたので、取得したログの変換をするツールで自分でやるような遊びはありました (ヒロインや主人公の名称部分を**とか●●にしてあって、「どうぞあなたの名前にしてください」 みたいな感じですね)。
コンピュータゲームが普及し、例えばゲームの主人公の名前を自分で決められるようなソフトが出始めてから、パソコンを使うテキストデータ形式での小説や 「SS」 では、こうした 「遊び方」「読み方」 に一定のファンがいたようです。
また 「パソ通」 に関しては、作者が自分の個人的な会議室 (掲示板) などで、自虐的なネタをアニメやゲーム、マンガ、実在人物 (タレントなど) などと掛け合って発表してそれを他人が読んだり、あるいは会議室の管理人 (ボードリーダーやシスオペ) が、それらのキャラになりきって、ゲストとしてやってきた掲示板利用者などをもてなすような 「遊び」 もありました。
実はうちのサークルも、ドリーマーの巣窟だったり… ><
ちなみにこの同人用語集のルーツであり、また現在も筆者のいるセーラームーンの 「同人サークル」、「喫茶《ぱらだいす☆あ〜み〜》」 は、元々は 「ニフティサーブ」 で生まれ、後に一部は 「草の根BBS」 の上などでも活動していましたが、「喫茶」 ってのは 「セーラームーンのキャラがアルバイトとして働く喫茶店」 という設定で、参加者は自分とセラムンのキャラとの掛け合い (架空対談) で雑談をするという集まりでした。
月曜日は月野さん、火曜日は火野さん、水曜日は水野さんが出勤という設定で、今にして思うとかなり 「痛い」 遊びとも云えますが…キャラの誕生日ごとにパーティーをやったり (20人ほどのメンバーで数百の 「SS」 をリレーで書き込みをしながら1週間以上続くパーティーもありました)、イラストなどを描くと、キャラの会話で感想を書くような活動をずっとやってましたね。 ある種の、ゲームブックなき 「テーブルトークRPG」 のような…。
その後これらの作品をまとめる形で 「同人誌」 なども作りましたが、当時は 「妄想」「妄想ネタ」 なんて呼んで、「ドリーム小説」 なんてかっこいい名前はついていませんでした… ><。 ただ 「ドリーマー」 って言葉は使ってましたね。 うちのサークルのような活動をしている 「パソ通」 の集まりは他にもたくさんありましたから、筆者が 「ドリーム小説」 って言葉を耳にしたのはインターネットの時代になってほどなくしてからですが、よそでは昔から使っていたのかも知れません。
なおこうした 「遊び」 はパソ通の世界ではわりとポピュラーで (ただし一部の濃い所だけでしょうが)、当時は似たような会議室が 「ニフティ」 の中だけでもたくさんあり、それぞれが交流なんかもしてました。


