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アウトドア・おたく御用達から女子中高生アイテムへ? 「リュック」

 「リュック」 あるいは 「リュックサック」 とは、ドイツ語の 「Rucksack」(ruck (背中)+ sack (袋) を語源とする、背中に背負うための袋状のバッグのことです。 英語由来でバックパック (backpack/ 背中の荷物)、あるいは背嚢と呼ぶこともあります。

 もっぱら登山やハイキング、キャンプといったアウトドア系の 趣味 や活動、あるいは防災用などにも用いられ、たくさんの荷物を入れて運ぶための比較的大型の背負いカバン全般を指します。 サイズは小さいものから大型のものまであり、おおむねポリエステル・ナイロンなど軽量で丈夫な素材で作られています。 布 (帆布) や革製のものもあります。 表面に撥水や防水加工がされている場合もあります。

 用途に合わせた様々なタイプが存在しますが、完全に袋状で荷物を入れると垂れ下がって上部が尖り下部が丸くなるティアドロップ型のものか、硬めの素材による立体縫製や内部に金属製のフレームを入れるなどして長方形の箱型に整えられた剛性の高いものが一般的です。 名称は袋状のものをリュックやリュックサック、箱型のものをバックパックと呼ぶケースが多いでしょう。

 いずれも背負い部分にはクッション、両脇にパッドがついた大型のショルダーと、上部に手でぶら下げて持つための小さな取っ手がつき、開口部はファスナーかベルト留め、小さいものでは巾着タイプの閉じ方 (紐締め) で、その他内部に細かいポケット、表面に開放式の小物入れやペットボトル用のポケットなどが付いています。 道具類やカラビナなどを吊り下げるためのフックやストラップがついていることも多いでしょう。 パソコン用のものなどは、ビジネスシーンでは手提げバッグやショルダーバッグとしても使える両用・汎用タイプ (2wayタイプ/ 3wayタイプ) もあります。

 それ以外にも形状によって異なる呼び方もあり、主に登山用に用いられるものを 「ザック」(Sack)、小型のものをナップザック (ショルダーではなく紐で肩にかけるタイプが多い)、日帰り旅行や普段使いに適したものにデイパック (小型のバックパック) などがあります。

両手が自由になる上に、重い荷物もらくらく運べる

 リュックの大きな特徴は、他のバッグ類と異なり背中に背負うタイプのため、両手が自由になる点があります。 これは小学生用に用いられる通学用の ランドセル なども同様の理由によります。 転倒などの際に臨機応変で柔軟な体勢がとれる、気分的に自由に感じたり、手に他の荷物や傘、アウトドア時にはピッケルやストックなどの杖やロープなどが持てたり、自転車に乗ることも可能になります。

 また両腕に通したショルダーを通じて身体全体で重量を支えるため、片手で持ったり片方の肩にかけるバッグに比べ疲れにくく、より重量のある荷物を運べる利点もあります。 正しい背負い方と姿勢で歩くと、ほとんど積載重量を感じないほどの効果があります。 四肢の可動域にさほど影響を与えない背面を利用するため、高い収容力を持つだけでなく、リュックからはみ出すような長尺物や幅の広い荷物を運ぶのにも適しています。

 一方で、いかにも 「荷物を運ぶ」 というシルエットや、過酷な環境で用いるアウトドア用が中心のためデザインよりも実用性や機能性が重視され、日常 でのタウンユースには向いていないと考えられていた時代もありました。 とくにアウトドアなどと無関係の若者 (とりわけ男性) による普段使いは 「ダサい」「野暮」 場合によっては 「地雷」 扱いされ、そんなリュックを選ぶ人のファッションセンスもあわせて、リュックが 「おたく を象徴する アイテム」 のような扱いを受けた時代もありました (このあたりは女性 (腐女子) の キャリーカート (カラコロ) もかつては野暮なイメージがありましたね)。 そもそも荷物をたくさん持ち歩く人はどこかどんくさい人いうイメージもありますし、混雑する電車内などでは 「迷惑だ」 と感じられることも多いでしょう。

 なおリュックの開口部の端から丸めた ポスター を収納した筒状の厚紙容器を何本かはみ出させ、手に 同人誌 を持って歩く姿は 「二宮金次郎」 と呼びます。 秋葉原 には数多くの二宮金次郎が右に左に見かけられますが、メガネ がチェックのシャツに ボトムス はジーンズ、バンダナに穴あきグローブまで 装備 したらどこに出しても恥ずかしくない最先端おたくファッションの完成です。

あまりの便利さから、普段使いのリュックが大増殖

 かつてはおたくっぽいアイテムともされていたリュックですが、中高生ら生徒の通学用バッグとしても広まり、ほどなくして他の鞄やバッグ類を駆逐する勢いで普及しています。 通学用鞄・バッグには、革製の学生鞄 (学バン)、それに代わって普及したボストンバッグ型の スクールバッグ (スクバ) がありますが、1990年前後あたりからスポーツ系の部活をする生徒を中心に徐々に浸透、前後して若者向けでタウンユースに適したおしゃれで可愛いデザインのものなども多数販売されるようになり、スクールバッグと勢力を二分、もしくはリュックが優勢な勢いになってきました。 2020年代以降は中学校を中心に、6〜7割がリュック派という声も聞かれます。

 これは学校の教材類の大型化による重量増もさることながら、その少し前から ジャージ やファッションとしてのスニーカーといったスポーツウェアが日常用の衣服として用いられるようになったこと、実用性とファッション性を兼ね備えた商品が増えたこと、著名なブランドが生まれ、おしゃれでかっこいいイメージが浸透したことなどの影響もあるのでしょう。 またランドセルのイメージから ロリコン っぽいかわいさを感じて、ロリータ とか ゴスロリ などへの波及もありました。 同時に2000年代中頃から男性おたくや女性おたく、腐女子らのイメージが、それ以前から劇的に向上した点も見逃せません。 「便利なのはわかるけど、おたくに思われるから使えない」 から 「別におたくだし、それが何か?」 みたいな価値観の変化です。

 とくにおしゃれな女子中高生が好んでリュックを選ぶようになったのは、それが時代とは云え、リュック受難? の時代を知る 筆者 など、ちょっと驚いてしまいます。 ほんとひと昔前までのリュックは 「ダサい」「邪魔」「暑苦しい」「無理」「いったい何をそんなに運んでいるだ…」「山に埋められそう」 でしたから (若干被害妄想入ってます)。

 その少し前までのバブルの時代はアウトドア系のスポーツが人気でしたが (サーフ & スノー)、街中着とレジャー用の衣服はわりとはっきり使い分けられていました。 ただモコモコとしたダウンジャケットなどは1980年代に広がっていて、それまで大人の冬着の 定番 だった各種コート類を駆逐しつつあったので、このあたりのスポーツウェア志向の変化はアイテムごとに タイムラグ がありつつも、ファッション全体への大きな流れでもあるのでしょう。

 2010年代ともなると、ミニスカート制服 に布製のマスコットなどを多数ぶら下げた小さめのリュックを背負う姿は、日本の JCJK らにありがちなものになっています。 なお は通学用は無難で に扱っても汚れが目立たない黒、休日や私服用には色とりどりのカラフルなものも良く選ばれます。 安価なものは無名メーカーの3,000円程度から有名メーカー8,000円程度から探せ、男子はスポーツブランド系の商品、女子は女の子向けに販売される独立系のかわいくてリーズナブルなブランド品が多いでしょう。 くたびれてきたら気軽に買い換えられるのがポイントです。 社会人用のブランド品でしっかりしたものでも、せいぜい20,000〜30,000程度の価格感です。

 また日常生活にリュックが浸透すると同時に、おたく・腐女子向けに振り切った 「痛バッグ」 と呼ばれる、表面に透明なビニールのカバーがつけられ、推し のバッジやぬいぐるみなどを外に見せる形で収納できるタイプのものなども登場しています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年1月23日)
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